ポイント新施策に込めたセブン&アイの野望
しかし、今年9月からは違う。そのポイントをnanacoポイントに集約し、買い物に使えるのだ。利便性が向上するわけだが、「そのうえ」という優遇サービスが先駆け的に6月から提供される。ポイント優遇である。
通常、クレジットカードのポイントは決済金額の0・5%相当というのが相場だ。ところが、セブン&アイでは、グループ内の対象店舗において、グループが発行するクレジットカードであるアイワイカードか、ミレニアム/クラブ・オンカード セゾンを利用した場合、ポイントを1・0~1・5%と、通常水準の2倍から3倍という圧倒的な高率で提供する。消費者は「沢山のポイントが貯まって、好きな商品が買える」ことになる。
「それでは、セブン&アイのコストが増えるだけではないか」
こうネガティブに受け止める向きもあるかもしれない。しかし、セブン&アイは大きなメリットが期待できる。
たとえば、次のようなケースを想定してみよう。
複数の鉄道が乗り入れているターミナルステーション。その周辺にはスーパーマーケット、百貨店が競い合うように林立している。近くに住み、日用品の購入をイトーヨーカドーで済ませている主婦Bさんは、ちょっと高額な品物を買いたいとき、グループ外ではあるが近いほうの百貨店に行っていた。駅の反対側には西武百貨店があっても、そこまで行くのはおっくうだったからだ。
ある日、西武百貨店でアイワイカードを利用するとポイントが今までの2倍になることを知った。しかも、nanacoにポイントを移し替えると、買い物までできる……。
「だったら、駅の向こうまで足を延ばそう」