ゴルフで「記憶力UP・健康寿命が延びる」は本当か 5000件超の論文検証などでわかった健康効果

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サミットで、R&Aはゴルフにおける健康上のメリットについて、エジンバラ大学のアンドリュー・マリー博士による研究を紹介。ゴルフと健康に関する5000件以上の研究を考察した論文で、メリットについて次のように説明をした。

<ゴルフの健康上のメリット>
■平均すると、ゴルファーは非ゴルファーより5年間ほど長生きする
■ゴルフは40の主要な慢性疾患の予防と治療に役立つ
■メンタルヘルスを改善し、社会的ウェルビーイング(個人や社会のよい状態。健康と同じように日常生活の一要素であり、社会的、経済的、環境的な状況によって決まる) を高める
■ゴルフは筋力とバランスを助け、生活の質を向上させ、有酸素運動を提供する
■通常の18ホールコースでは、ほとんどのプレーヤーは4~5マイル(6~8km) を歩き、最大2000カロリーを消費する(ゴルフカートに乗っていない場合)
■週に少なくとも150分間(1ラウンドは4~5時間、150分はハーフラウンドのおよその時間)ゴルフをする場合は、WHO(世界保健機関)の世界的な運動ガイドラインを満たしている

「記憶力が良い」という健康効果も

また、このセッションでは、東京都健康長寿医療センター理事の鳥羽研二医学博士が、ゴルフをする人は「歩くスポードが速く、骨量が多い」「うつになりにくく、よく眠り、生活の質が高い」「理由付けした記憶力が良く、情報処理能力や実行機能に優れている」などの健康効果があることを発表した。

この、理由付けした記憶力というのは「いくつかの情報を論理的に整理して、関連性のある情報を結びつける能力」をいい、実はゴルフには欠かせない要素の1つだ。

というのも、ゴルフではホールごとに条件が違うため、「このホールは右に池があり、風が左から右に吹いているので、ボールは左側に向かって打ったほうがいい」「グリーンは砲台(高いところ)なので、いつもより飛ぶクラブを持ったほうがいい」といった情報処理が都度、必要になるからだ。

興味深いことに、イギリスのウェールズでは「ゴルフをすると幸福な気持ちになる、心臓に良い、筋力維持に役立つ、平衡感覚の維持に効果的」などのメリットを掲げた訴求キャンペーンを実施したところ、「ゴルフをしたことがない人が、将来的にゴルフをしようとする割合は58%にのぼる」との報告があった。

それだけ、ゴルフと健康のメリットを訴求することで、ゴルフへの関心が高まる、というわけだ。

日本でも、2022年度に日本ゴルフ協会(JGA)が組織の中にゴルフ振興推進本部を立ち上げ、今年から本格的に活動している。その本部であるゴルフと健康部会の今年初のイベントとして、9月の日本シニアオープンの週を「ゴルフ健康週間(9月11日~17日)」とし、さまざまな活動を行った。

このゴルフ健康週間について、JGAの山中博史専務理事に日本シニアオープンの会場の能登カントリークラブでお話を伺った。

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