サイゼリヤ、国内赤字でも「値上げをしない」理由 業績上昇でも、国内は4期連続で水面下に沈む

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実際に、サイゼリヤは2023年8月期の国内既存店の客数が前期比で16.3%増と好調だった。競合する、すかいらーくホールディングスの2023年1〜9月の既存店客数は前年同期比で8.8%増。これと比べると、サイゼリヤの伸びが目立つ。

また、複数の店舗を管理するスーパーバイザーを設置し、店舗運営の効率化を図っている。セルフレジやテーブルオーダー、配膳ロボットを導入するなどDX(デジタルトランスフォーメーション)による効率化を推進中だ。

これらの結果、2023年8月期の売上高販売管理費比率は56.4%と、前期の62.8%から大幅に改善し、コロナ前の水準まで戻った。

 

値上げを実施しなければ会社が潰れる

客数が伸び、販売管理費を抑制しているとはいえ、痛いのが円安やエネルギー価格高騰などによる原材料費の上昇だ。同社は主要材料の多くを輸入に頼っており、円安に伴う原材料高のダメージが大きい。

売上高に占める原材料費の割合である原価率は、2022年8月期は36.9%であったが、2023年8月期は39.7%と、2.8ポイント上昇した。とくに前半に原価高騰のインパクトが大きく、通期営業赤字は免れなかった。

「いまは適切な価格対応(値上げ)を検討しなければならない。そうでないと会社が潰れてしまう」。冒頭とは別の外食業界関係者は、こう言い切る。

牛丼チェーン大手の吉野家は今年10月に入り、2021年、2022年に続き3年連続で値上げを実施した。それにもかかわらず、今年の6月頃から客数も好調に推移している。とくに、9月は前年同月比12.1%増と2桁増となった。

コロナから人流が回復したことに加え、2022年の春に発売し人気だった親子丼を今年8月から再び販売するなど期間限定商品を相次いで投入し、客数の増加につなげた。

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