アキュセラ創業者の助っ人はあの北尾氏 狙われたバイオベンチャー、奪還の顛末
しかし、普段から「不満があったら直接言ってくれ」と言い、従業員の意見にもつねに耳を傾ける窪田博士にとって、何の説明もなく退任を迫られたことは承服しがたかった。また、CEO交代後に新たな経営戦略の公表があるわけでもなく、「これでは従業員を任せられない」との思いが募った。
SBI北尾代表の協力を得て反撃!
そこで、創業初期からの理解者である大株主SBIとその代表である北尾吉孝氏の支援を取り付けて反撃に出る。SBIグループと窪田博士の持ち株を合わせると50.28%の過半となるのだ。
SBIが2月には取締役交代のための臨時株主総会提案を経営陣あてに送付。併せて3月には本社のあるワシントン州の地方裁判所に同件の申し立てを行った。その結果、5月1日に開催された臨時株主総会の決議をもって窪田博士はCEOに復帰できた。
オカラガン氏を初めとする反乱側の経営陣、社外取締役は全員解任され、北尾氏をはじめとする、窪田博士が以前から信頼しているというメンバーに総入れ替えとなった(北尾氏は5月18日、経営が安定したとして退任)。
今回の騒動を、窪田博士自身は、「日本的なベンチャー企業の経営観とアメリカ的なベンチャー経営との経営観の相違」と説明する。創業者・開発者が最後まで責任を持って製品化していくのが日本のベンチャー観とすれば、米国では創業者は利益が上がれば適当なところでイグジットし経営権は譲っていくのが普通であるというのだ。
しかし、これは「悪口は言いたくない」という窪田博士独特の言い回しであり、実態は上場でキャッシュリッチになった同社の乗っ取りと見るのが妥当ではないか。
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