アキュセラ創業者の助っ人はあの北尾氏 狙われたバイオベンチャー、奪還の顛末

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反乱側は4カ月で8.5億円の株式付与

実際、オカラガン氏がCEOに着任した1月以降4月末までの4カ月間にストックオプションが2回(対象者4名(1月)と1名(3月))、制限付き株式ユニットの付与が4回(同13名(1月)、3名(2月)、4名(3月)、3名(4月))と実施されているが、その対象者については「従業員」としか公表されていない(執行役員も従業員である)。こうしたエクイティ・インセンティブプランの総額は720万ドル、日本円で約8億5000万円にもなる。

たった4カ月の間にこれだけの回数、金額のばらまきが行われること自体が異常だ。しかもこの間、大きな経営方針の転換も、開発方針の転換も公表されていない。これでは、反乱側の意図が、会社の資産を食いものにすることにあったと見られても仕方がない。

「今回のことで、一緒にやっていくメンバーには、コアの価値観の共有がいちばん大切だと再認識した」と窪田博士は言う。「自分と異なる意見もいったんは受け入れてみる」という窪田博士の性格も研究者としては正しいが、企業経営者としては、付け入る隙を与える要因のひとつになったのかもしれない。

今回は北尾氏という百戦錬磨の強力な助っ人がいたが、今後、資金調達の課程で、株主の分散化が図られていけば、株主対策も難しくなる。「メッセージを絶えず送り続けること、コミュニケーションを取ることでリスク回避を図る」と窪田博士は言う。「良い投資家を得ることはきわめて重要。おカネに色はないと言うが、理念を共有してくれることは大切。サポートしようと思ってもらえるよう、こちらも信頼を得る努力をしなければ」と、気を引き締めている。
 

小長 洋子 東洋経済 記者

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こなが ようこ / Yoko Konaga

バイオベンチャー・製薬担当。再生医療、受動喫煙問題にも関心。「バイオベンチャー列伝」シリーズ(週刊東洋経済eビジネス新書No.112、139、171、212)執筆。

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