「VRジャーナリズム」はホントに普及するのか NYタイムズマガジンの編集長に直撃
NYタイムズマガジン編集長のジェイク・シルバーステイン氏によれば、前述のJRと既に取り組んでいた「Walking New York」という企画のコンセプトをより良くする上で、VRは有効な手段だと考えたそうだ。
VRであれば、読者を本編に登場するようなダンサーやミュージシャンの間近に迫るところまで連れていける、というわけだ。同社は4月、広告主向けのイベント「Newfront」において、VRを使ったブランドコンテンツを制作していくと発表している。今回のはその実験段階といえるだろう。
具体的な数字は明かされなかったが、ジェイク編集長によれば反響はとても興味深く、今後の可能性を感じたという。
中東やウクライナの情勢を伝えるのに役立つ
今回はニューヨークの街並みという日常のシーンを中心に扱ったが、中東やウクライナなど、読み手が普通は直接訪れることができないような、世界中の各地で起きていることを伝えるためには、VRは有効だとの認識を彼は示した。
しかし、次回作の予定はまだ立てていないという。問題となってくるのはそのコストの高さだ。実際、「Walking New York」は約5分間の本編のうち終盤の数十秒にわたってエンドロールが流れ、少なくとも44人が関わっていることがわかる。
ジェイク編集長は、引き続きVRSEと手を組んで、「いつかは日常的なコンテンツも扱いたい」と語るが、その道のりはまだ遠そうだ。
モバイルやデスクトップの画面で読み手を没頭させるのに使われてきたのが「Snowfall型」のコンテンツであり、VRは全く別の試みと言えるが、高いコストに見合う成果が得られないという同じ末路をたどる可能性がある。
実際の評判はどうなっているのだろうか。Twitterで「Walking New York」や「NYT VR」などのキーワードを入れて検索してみると、「これは新しいジャーナリズムだ!」といった具合に業界関係者からの絶賛は目立つが、肝心の一般読者からのコメントはあまり見受けられない。
VRデバイス「Oculus Rift」は、今年後半に予約が開始され、来年に市販が始まる。こうしたハードウェアの充実に合わせて、どれだけ一般ユーザーに今までなかったような体験を与えられるか、病みつきにさせられるようなコンテンツを生み出せるかが鍵となりそうだ。
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