日本初のEVキャンピングカー「T-01」の正体に迫る 電動化×アウトドアは自動車業界で成功なるか

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オプションのフレキシブルソーラーパネル
オプションのフレキシブルソーラーパネル(筆者撮影)

なお、サブバッテリーを満充電するまでの時間は、外部電源を使って約7時間。オプションの370Wフレキシブルソーラーパネルを装備すれば、晴天の日中にサブバッテリーに充電することが可能だ。さらに緊急時などには、走行用のメインバッテリーから100V出力でサブバッテリーへ給電することも可能。災害などで停電した際に、T-01を避難場所としても活用できる。カーステイの宮下社長によれば、「メインバッテリーの電力も使えることが、ガソリン車やディーゼル車がベースのモデルとの大きな違い。まさにEVキャンピングカーの大きなメリットのひとつ」なのだという。

T-01の価格や課題について

オプションのルーフエアコン
オプションのルーフエアコン(筆者撮影)

T-01の価格(税込み)は、オプション未装着の車両のみで1150万円。オプションにはテレビやルーフエアコン、ルーフベントなども用意する。すべて受注生産で、2023年8月9日より、同社の公式ホームページで受注を開始している。カーステイでは、「今後1年間で20台の販売」を目指しており、取材した2023年8月31日現在で、数十件の問い合わせがきているという。問い合わせしてくるユーザーには、「キャンピングカーよりもEVに興味がある」層が多く、すでにキャンピングカーを所有している愛好家などは少ないそうだ。

こうしたユーザー傾向の要因は、あくまで私見だが、航続距離の問題も大きいだろう。T-01は、前述のとおり、満充電で約270kmを走ることができるが、そう考えると移動範囲は片道100km圏内くらいだ。また、旅先に充電スポットがあり、できれば宿泊中の夜間に、充電ができる場所が好ましい。最近は、キャンピングカーなどが車中泊できるRVパークなどにも、EV用充電器を備えているところも増えてきている。だが、「どこでも、好きな場所に行ける」という、キャンピングカー本来の楽しさは制限されてしまうといえるだろう。

この点について、カーステイの宮下社長も、こうしたEVキャンピングカーの普及には、「充電スポットがもっと増える必要がある」ことを認めている。それでも、同社がEVキャンピングカーの専門ブランドとしてムーンを立ち上げ、T-01を発売した背景には、「未来のスタンダードモデルを作りたい」という思いがあったのだという。

次ページ海外ではすでにEVキャンピングカーも登場。T-01の今後は?
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