ドラッグストアVS調剤薬局、「勢力圏争い」が激化 ウエルシアの調剤併設が調剤大手アイン超え
「こんなに利益率が高いのだから、やらない手はない」。ドラッグストアの幹部はそう明かす。現在、多くのドラッグストアが調剤事業を成長ドライバーに据え、調剤併設店舗を増加させている。調剤事業の粗利率は3割程度と、食品の粗利率1〜2割程度と比べてはるかに高い。
ドラッグストア最大手ウエルシアホールディングス(HD)の調剤併設店舗数は2022年度に2019。調剤専業薬局の最大手であるアインHDの調剤店舗数1209を大きく上回っている。
業界2位のツルハHDも、2020年5月期に615店舗だった調剤併設店舗を5年間で1170まで増加させる目標を掲げる。
ツルハの主戦場である郊外では、出店過多による客数減少が課題だ。来店頻度を高めるために食品の安売り競争が激化しており、利益率の高い調剤事業を強化する意義は大きい。
調剤薬局のドラッグ化
ドラッグストアは物販を生かした利便性も強みだ。調剤受付に処方箋を先に渡しておけば、待ち時間に店内で一般用医薬品(市販薬)や化粧品、食品などの買い物ができストレスが少ない。駅前立地の店舗が多く、仕事帰りにも使い勝手がよい。
一方の調剤専業薬局側は、ドラッグストアの侵食に“ドラッグストア化”で対抗している。アインHDはスキンケアやメイクを主力としたドラッグストア「アインズ&トルペ」を訪日外国人客の多い札幌や首都圏を中心に展開。コロナ禍で赤字が続いたが、2023年4月期は黒字転換した。
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