短期記憶から長期記憶への移行には、睡眠が欠かせないといわれています。一夜漬けの知識が役に立たないといわれているのはそのためです。試験前にわっと詰め込んだほうが効率がいいと考えがちですが、効率的な学習法には、しっかり休むことと、関連する情報を一緒に覚えること、その2つが重要です。
実際、アイオワ州立大学の研究者たちが行った研究によれば、効果的な学習法には、「間隔をあけること」と「検索練習」の2つが挙げられるそうです(①)。1日~数日の適度な間隔で学習することにより、前回の内容を思い出す過程が記憶を増強させる効果をもたらすといいます。
この結果は、スキルの上達は練習中ではなく、休憩中に起こることを示したアメリカの国立衛生研究所の研究(②)とも矛盾がありません。
覚えたことをアクティブに思い出す
一方、検索練習は、学習した内容をアクティブに思い出すことで、記憶を強化し、長期記憶に定着させる手法です。
例えば、問題を解いたり、自分で問題を作成したり、学んだ内容を他人に説明したりすることが検索練習にあたります。このようなアクティブな方法で学習内容を思い出すことで、記憶がより確実に定着し、長期間保持されやすくなるといいます。
また、カリフォルニア大学の研究者によれば、異なる環境や時間で学習を行うことで、複数の文脈と関連づけられた記憶が形成され、思い出しやすくなるそうです(③)。
なぜなら、記憶は出来事だけでなく、そのときの精神状態や感情とも密接に関連しており、これが記憶検索において重要な役割を果たしているからです。また、学習時と同じ状況や気分で思い出そうとすることでも、記憶力を高める効果があるといいます。