生徒の動画を撮る"問題教師"もクビにならぬ背景 深刻化する「教員不足」の影響が各所に…

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ただ、低学年では実施率が低いことから、ひと学級当たりの児童数をより少なくするか、クラスの中での大人の目を増やす必要があるだろう。ある公立小学校で発達支援の必要な児童がいる学級に補助員として入っている女性は、こう話す。

「教室から出て行ってしまう子を追いかけたり、授業についていけない子をサポートするための補助員は必要です。発達支援が必要でなくても、地域によっては中学受験のストレスで荒れている5~6年生の子も少なくありません。そうした子どもたちを教室で見る担任以外の大人がいることで担任が落ち着いて授業ができるようになります。複数の大人がいることは、担任が適切でない指導をしていた場合の早期発見と改善にもつながります」

複数担任学級は「夢のまた夢」

筆者の取材では教員からの「教室にもう一人の大人を」と願う声は決して小さくない。クラスに副担任が常時いるような「複数担任学級」があれば理想だろうが、「教員不足のなかでは夢のまた夢」(教育行政関係者)。文部科学省では複数担任学級の実施状況について把握しておらず、東京都の教育庁に尋ねても「複数担任学級を実施している学校はない」としている。

東京都には、小学校に配置される新卒採用教員のうち教職・社会人経験のない大卒新卒者を対象に「学級経営研修」制度がある。1年間、経験豊富な短時間勤務の再任用職員(定年退職後の非正規の職員)を育成担当教員としてペアにした学校現場の実務研修を行っており、2020年度で228校が実施している。そうした仕組みが拡大されていくことも、大人の目を増やす方法として期待できるのではないか。

これまで小学校は1クラス40人が上限とされてきたが、2021年に義務教育標準法が改正されたことで、上限が35人に引き下げられることになった。40年ぶりに学級編成が変わることになり、段階的に引き下げが実施されて2025年度に完全に1クラス35人になるが、それより少ない人数での学級編成を求める声も根強い。

ある教員(30代前半)は「新型コロナウイルスの感染拡大期、分散登校で一度に見る児童が15人ほどだった時は、一人ひとりを丁寧に見ることができました。コロナで初めて、ああ、教員って、本当にやりがいある仕事だなと痛感しました」と話す。やっと35人学級が実現するところだが、これで理想的な態勢ということではなく、子どもたちが安心安全に学校に通える人数の精査、少人数制について、さらなる議論も今後必要になるだろう。

小林 美希 ジャーナリスト

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こばやし・みき / Miki Kobayashi

1975年、茨城県生まれ。株式新聞社、週刊『エコノミスト』編集部の記者を経て2007年からフリーランスへ。就職氷河期世代の雇用問題、女性の妊娠・出産・育児と就業継続の問題などがライフワーク。保育や医療現場の働き方にも詳しい。2013年に「『子供を産ませない社会』の構造とマタニティハラスメントに関する一連の報道」で貧困ジャーナリズム賞受賞。『ルポ看護の質』(岩波新書、2016年)『ルポ保育格差』(岩波新書、2018年)、『ルポ中年フリーター』(NHK出版新書、2018年)、『年収443万円』(講談社)など著書多数。
 

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