ユニ・チャーム時価総額が「花王超え」の納得理由 同じ商品群でも10年で明暗分けた「戦略の妙」

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ユニ・チャームの高原豪久社長は、2001年より舵取りを担う創業家2代目。海外展開を強化してきたことが、今の株価や業績に繋がっている。

直近の2022年度では「中東のフェミニンケア(生理用品)や大人用紙おむつの進出状況が好調。ブラジルもコロナ禍を経て回復傾向」(高原社長)と語ったように、果敢に多くの地域を攻めている。中国市場への依存度が高かった花王や資生堂などと違い、インバウンド需要剥落の影響も大きく受けなかった。

経済成長が続くインドでユニ・チャーム商品は多くの棚を占めている(提供:ユニ・チャーム)

東南アジアや中東、北米、南米など、ユニ・チャームの進出先には偏りが少ない。アラブ地域ではオリーブオイルが「肌に優しい」とされる文化に目を付けて、オリーブオイル配合の生理用品をサウジアラビアで展開するなど、現地事情に合わせたものづくりにも注力している。

日用品の販売価格は、進出国の1人当たりGDP(国内総生産)の上昇に連動する。ユニ・チャームの場合、まずベビー用紙おむつや生理用品で市場を開拓し、成熟期に大人用紙おむつやペット用品へ展開を広げる。人の一生に沿った商品ポートフォリオを取りそろえることで、世界の人口増加を業績拡大の追い風にしている。

2018年には、東南アジアで紙おむつ事業等を展開するタイの日用品メーカーDSGTを約600億円で買収するなどM&Aにも積極的だ。

花王も海外成長に本腰

海外展開で出遅れた花王も、これから再強化する方針を掲げる。M&Aを活用するなどで2022年度に6745億円だった海外売上高を、2027年度に8000億円以上まで拡大させる目標だ。

現時点で海外進出が進んでいるのは、消費者によく知られる日用品や化粧品よりも、法人向けに産業用製品の販売等を行うケミカル事業だ。2022年度のケミカル事業の海外売上高比率は65%もあり、高い技術力が評価されている。

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