あと3年でポリオは世界から根絶できる! 天然痘に続く人類2度目の挑戦の全貌

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2011年にローン・コンバージョンを用いて開始されたパキスタンのポリオ根絶活動によって、パキスタンではポリオ発生地域が限定されるなど順調に成果をあげ、2014年4月にはゲイツ財団がパキスタン政府に代わって日本におカネを返すことが決まりました。

平和貢献に使う金額は毎年削られている

ここまで読んでいただいた方の中には「もう1%まで減っているのだから、そんなに頑張って0%にする必要なんてないのでは?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

でも、そうではないのです。皆さんは、エボラ出血熱やデング熱などの感染症が流行したときに、日本を、世界を襲った不安を覚えていらっしゃるでしょうか。グローバル化の進んだ現代社会においては、世界に少しでも残っている感染症は、次のエボラ出血熱になる可能性があります。ポリオもそうです。

今年は、日本からポリオが根絶されてから、そして世界から天然痘が根絶されてから35年。世界が力を合わせれば、あと3年でポリオは世界から根絶できると言われています。

これが実現できれば、人類史上、2度目の快挙。わたしは、この歴史的快挙を成し遂げるための最後の踏ん張りは、日本の重要な役目ではないかと思っています。日本にしかできない、日本にはその力がある、と多くの人も期待しています。

でも現在、こういったワクチンなどに使われる日本の平和貢献のおカネは、毎年削られているのが現状です。

どうか政治家や外務省、財務省、厚生労働省など官僚の方々が、是非、これを重要だと思い頑張って推し進め、人類史上2度目の感染病の根絶を、日本の力をつかって成し遂げてほしいと思います。こういうことができる世界の多くの国から信頼されている日本に生まれたことを、わたしたちも子どもたちも誇れると思うのです。

金森 サヤ子 大阪大学 特任講師

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かなもり さやこ / Sayako Kanamori

2017年4月より、大阪大学 未来戦略機構第一部門 超域イノベーション博士課程プログラム 特任講師。2009年に外務省 国際協力局 多国間協力課に入省、地球規模課題総括課を経て、国際保健政策室 事務官。国際保健外交政策の立案や戦略策定に従事。その後、一般社団法人ジェイ・アイ・ジー・エイチ(JIGH)調査事業本部長としてポリオ根絶活動をリードしたほか、医療の海外展開に従事。2002年に筑波大学第二学群生物学類卒業後、ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院にて医学寄生虫学修士号取得。ビジネスコンサルタントを経て、2009年に東京大学医学系研究科国際地域保健学教室にて保健学博士号を取得。専門はグローバルヘルス、保健政策学、保健外交、ヘルス・プロモーションなど。

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