ゲイツ財団が直接パキスタン政府に資金提供をしないのか?と不思議に思われる方も多いと思います。しかしそこには、現在残っているポリオ常在国がイスラム教国であるという理由があります。
米国とイスラム教国は政治・外交的に良好な関係にあるとは言えません。そこで、ビル・ゲイツ氏が考えたのが、この仕組みなのです。イスラム教国とも信頼関係を築いてきた日本と組むことで一緒にできる、と考えたのが始まりでした。
根絶すれば、そこにおカネが必要なくなる
日本は、世界200カ国以上ある中でも、ほかの国々と比較して開発援助を通じた内政干渉をしないなど、世界中の多くの国々からの信頼が厚い国です。そして、あまり知られていないのですが、2007年の西太平洋地域におけるポリオ根絶にも、日本は大きく貢献しています。これが始まる前、ポリオ根絶を目指す議員のメンバーとわたしは、シアトルでゲイツ氏に会いました。
ゲイツ氏は、「ポリオは一度根絶してしまえば、この病気のために世界中がもうおカネをかけなくてよくなる」と、コークの缶を片手に熱っぽく語ってくれました。
確かに日本でも毎年、膨大なおカネ、その多くは国費をかけて、ポリオに対する免疫をまだ持たない赤ちゃんたちにワクチンを接種して大流行のリスクを低めています。それが必要なくなるのです。「世界で考えれば、莫大な予算を別のことに使えるようになるのだ」と、はっと気づかされた瞬間でした。
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