フォンデアライエン氏が非難した中国製EVの(不当な)低価格と巨額の補助金について、中国の自動車業界からは反論の声が上がっている。「中国製EVの輸出先での販売価格は、中国国内での販売価格より明らかに高い。(不当な)安売り行為は存在しない」。財新記者の取材に応じた複数の業界関係者は、そう口をそろえた。
例えば、国有自動車最大手の上海汽車集団が傘下の「MG」ブランドで販売しているグローバルモデル「MG4」は、ベースグレードの希望価格が中国では11万5800元(約233万円)なのに対し、ドイツでは3万2312ユーロ(約510万円)と2倍を超える高さだ。
ある中国の自動車業界の専門家は、中国製EVの優れたコストパフォーマンスは生産のスケールメリットや(EVの主要部品のほとんどが中国国内で調達できるという)サプライチェーンの優位性などで形づくられたものであり、「政府の補助金によるものではない」と語気を強めた。
在中国EU商工会議所は反対を表明
注目すべきなのは、中国に進出しているヨーロッパ企業の団体である在中国欧州連合商工会議所(EU商工会議所)が、中国製EVを標的にした欧州委員会の調査に対して強い懸念と反対の意向を表明したことだ。
EU商工会議所は9月13日に発表した声明のなかで、「中国製EVとその関連産業は不断のイノベーションと激しい国内競争を通じて、産業全体の競争力を高めてきた。その優位性は(中国政府の)巨額の補助金により形成されたものではない」と分析。そのうえで、EUが中国製EVの輸入を制限した場合の副作用について、次のように憂慮を示した。
「ヨーロッパおよび全世界の自動車産業は、中国のEV関連産業と良好なパートナーシップを築いてきた。1台1台のEVの内側には、(ヨーロッパ企業を含む)全世界の大小無数のサプライヤーの努力が凝縮されている」
(財新記者:余聡)
※原文の配信は9月13日
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