オーストラリア政府「ネコとの戦争」宣言した事情 野良猫は射殺、飼い猫は外出禁止令…

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オーストラリアの多くの自治体では、すでに猫に関する厳しい規制が敷かれており、いくつかは国際的なニュースになった。南オーストラリア州マウント・バーカーでは、飼い猫は1世帯につき2匹までに制限されている。飼い猫の屋内飼育を義務付けたり、郊外の特定区域を「屋外飼育禁止区域」(屋内飼育が常時義務付けられる)に指定したりしている自治体もある。

オーストラリア本島北西にあるクリスマス島では、島への猫の持ち込みが禁止されており、全住民に飼い猫に不妊手術を施すことが義務付けられている。当局は島の猫がやがて死に絶えることを狙ってこのような措置を取っているのである。

「猫の封じ込め」に協力的な国民

こうしたペット管理施策は通常、地方自治体レベルで行われているが、州の法令が充分な強制力を持たなかったり、州ごとに異なっていたりするために効果が限定的なものにとどまることがある。今回の政府の提案は、各州の法令に一貫性を持たせ、地方自治体がより簡単な手続きで郊外に猫ゼロ区域を作れるようにしようとするものだ。

数カ月前、私は猫が及ぼす影響に関するオーストラリアの代表的な研究者の1人であるオーストラリア国立大学のサラ・レッグ教授に話を聞いた。教授によると、オーストラリアでは他の多くの国々よりも飼い猫封じ込め策が広く受け入れられているという話だった。

「残念ながらオーストラリアでは絶滅する種が非常に多いため、私たちの仕事がやりやすい状況になっているのかもしれない。猫の飼い主を含め、一般の人々は猫を管理することに対し他国よりずいぶん協力的だ」と教授は言った。

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