ウォール街に跋扈する"吸血鬼"の正体

クルーグマン教授が米金融業界に喝!

だがこの文脈で適切な呼び名だという本当の理由は、彼ら改革の敵は日光を浴びると弱るということにある。

ウォール街は元通りになる権利があるなどと、表立って弁護する人はなかなかいない。右派のシンクタンクが規制は米経済を痛めつける悪いものだと主張しようとすることはあっても、本心からそう述べているようにはみえない。たとえばアメリカン・アクション・フォーラムは最新のそういう「研究」を報告しているが、著者のエコノミスト、ダグラス・ホルツ=イーキンによる説明の歯切れは悪い。

改革で悪人の立場が強まるという指摘も

その一方でよく指摘されるのが、改革を通じて悪人の立場が強まるという「隷属すなわち自由」説だ。

たとえば「大きすぎるし複雑すぎるから潰せない」機関を規制することは、金融の策士たちにとって有利に働いているという主張。ただし現実には、そういう組織は必死になって「システム上重要」と指定されないように努力している。

要するに、金融業界に買われて報酬をもらう召使いのように見られたいとは、ほとんど誰も思っていない。実際にそういう立場にあれば、なおさらだろう。

このことは吸血鬼たちが、少なくとも今まで金額に対して期待をかなり下回るものしか得ていないことを意味する。共和党がドッド・フランク法を亡き者にしたいとしても、不届き者が恐れおののくウォーレンのような改革派はきっと彼らの動きを白日の下にさらす。そのまぶしい光を恐れるのは当然だ。

だからと言って、もちろん金融界は万事良好だなどというわけではない。ドッド・フランク法は、何もないよりずっとましとは言え、とうてい私たちの必要すべてを満たすものではない。依然として吸血鬼たちは棺に身を潜め、また襲いかかろうとしている。ただ、事態はもっと悪かった可能性があるのだ。

(執筆: Paul Krugman、翻訳: 石川眞弓)
© 2015 New York Times News Service

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