TBSが300億円で「やる気スイッチ」を買った真意 佐々木社長が重視する「視聴率」とは異なる指標

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そうした中で、僕ら自身も有料配信サービスのParavi(編集注:テレビ東京ホールディングスなどとの共同出資で設立。2023年3月にUSEN-NEXT HOLDINGSが買収し、傘下のU-NEXTに吸収合併)という拠点を持っていた。拠点を持っていないと、根無し草のようになってしまう不安があったからだ。

ただ、有料の配信プラットフォームでは海外勢がいて、過当競争であることは間違いない。そこで、日本でいちばん大きいプラットフォームを作ろうと思い立ち、ParaviとU-NEXTが合流した。

TBSホールディングスの佐々木卓社長
やる気スイッチグループやU-NEXTなどと連携したコンテンツ制作を強化すると語った佐々木社長(撮影:尾形文繁)

――TBSとして、有料配信サービスではU-NEXTが日本一を取ると見た、ということですか。

もちろん(日本テレビ傘下の)Huluなど皆さん頑張っているけれども、われわれが組んで最も伸びるだろうなと思ったのがU-NEXTだった。

僕らはテレビコンテンツで言うとドラマが強い。これから先、ドラマを作る工場としての供給能力は相当あると思う。一方でU-NEXTは、韓流など多様なコンテンツを僕らにはないスピード感と資金力で作っている。ただ、テレビドラマに関して言うと、存在感があまりなかった。だからお互いの補完機能としては完璧だと思った。

U-NEXTとより近い関係になりたかった

――USEN-NEXT HOLDINGSによる買収の段階で業務提携を発表していましたが、今回持ち分法適用会社化に踏み込んだのはなぜでしょうか。

ParaviとU-NEXTが合流しただけでは、遠い親戚ぐらいの間柄で、これから一気に兄弟・姉妹ぐらいの関係になりたいと思った。U-NEXTが大きくなれば、コンテンツを提供しているわれわれにも大きなリターンが返ってくるような形にしたかった。

今後はオリジナルドラマを作っていく。(U-NEXTの持ち分法適用会社化によって)僕らは真摯にU-NEXTに向けたドラマを作れる。仮にHuluや(フジテレビ運営の)FODと組むと、どっちのテレビ局がイニシアチブを持つかといった難しい問題がある。テレビ局傘下ではないU-NEXTは、テレビコンテンツを提供するうえではいちばんやりやすい提携先だ。

例えばオリジナルコンテンツを開発したり、大きな予算で一緒にスポーツ中継を行ったりするには、自社コンテンツを優先的に供給する配信プラットフォームが必要だ。そういう全力投球するものは、U-NEXTと組むと決めている。

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