「円安の終わりはアメリカ次第」という思い込み 円より安いのはロシア・トルコ・アルゼンチン

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日本側の要因を主体として先行きを分析した場合、行き着くところは日本だけマイナス金利であることや、需給環境において外貨流出が大きくなっているという従前から言われている事実である。

金利と需給。いずれの理由を重く見るかという点は論者により異なるものの、FRBが利上げを停止して、いずれ利下げ転換する動きがあったとしても、それで日銀がマイナス金利解除に至る理由はないし、もちろん貿易収支やサービス収支の赤字が小さくなったりする理由もないだろう。

ゆえに円相場の現状や展望を検討する際、FRBの挙動は目先の方向感を多少規定することはあっても、「かつてのような円高に戻る」と主張するには材料として不十分だというのが筆者の認識である。

「日米金利差」で語る限界

言い方を変えると「アメリカ要因だけでかつての円高を取り戻すのは難しい」という話である。

この点、「日本は経常黒字国だからいずれ円高に戻る」という主張はいまだ目にするが、「会計上の黒字」と「実務上の赤字」を混同してはならない。黒字の源泉となっている第1次所得収支は外貨のまま再投資される割合が大きく、黒字が額面通りの円買いを意味しない可能性を直視すべきだ。

FRBの政策運営の方向感(タカなのかハトなのか)といった論点、いわゆる日米金利差の拡大・縮小に応じて先行きを読もうとするアプローチは「円安のピークアウト時期」を特定するには有用かもしれないが、「1ドル=120~140円のレンジが常態化してしまったドル円相場」、もしくは実質実効為替相場などに象徴される「安い日本」の背景を解き明かすにはさほど役に立たない材料である。

日米金利差はシナリオの方向感を、需給環境は円相場の地力を規定する論点と考え、展望を作っていきたいと思う。

唐鎌 大輔 みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト

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からかま・だいすけ / Daisuke Karakama

2004年慶応義塾大学経済学部卒。JETRO、日本経済研究センター、欧州委員会経済金融総局(ベルギー)を経て2008年よりみずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。著書に『弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』(日経BP社、2024年7月)、『「強い円」はどこへ行ったのか』(日経BP社、2022年9月)、『アフター・メルケル 「最強」の次にあるもの』(日経BP社、2021年12月)、『ECB 欧州中央銀行: 組織、戦略から銀行監督まで』(東洋経済新報社、2017年11月)、『欧州リスク: 日本化・円化・日銀化』(東洋経済新報社、2014年7月)、など。TV出演:テレビ東京『モーニングサテライト』など。note「唐鎌Labo」にて今、最も重要と考えるテーマを情報発信中。

※東洋経済オンラインのコラムはあくまでも筆者の見解であり、所属組織とは無関係です。

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