大震災の影響は限定的 財政健全化の努力継続を--OECD事務総長 アンヘル・グリア


 今回の事故は、原発の設計や運営の問題から起きたものではないという理解が重要です。未曾有の自然災害によって起きたのです。また、これだけ深刻な事故にもかかわらず、現時点で原発事故による死者は発生していないということも重要です。

日本にある既存の原発は、自然災害への耐久力を確かめるため、再点検されることになるでしょう。その結果、日本が将来再び、今回のような事故に見舞われるおそれがあるのかが、はっきりするはずです。

--原発が必要なのは理解できますが、地震や津波が多いという日本の地理的な特殊性を加味した場合でも、原発を推進すべきでしょうか。それとも、再生可能エネルギーへの転換を図るべきでしょうか。

両方です。われわれがすべきことは、化石燃料からの脱却です。その選択肢には、太陽光、風力、波力と並んで、原子力も含まれます。現在、日本は発電量の3割を原子力から賄っていますが、それを長期的に5割程度にまで引き上げることを、震災前には計画していました。これは非常に野心的な計画です。

──今回の事故で、原発の増設計画達成は難しくなったのでは。

とにかく既存の原発と新設予定の原発への影響を見極めるとともに、どうすれば(大震災にも耐えられる)次世代の発電所を造れるかについて理解を深めるべきです。日本の孤立した地理的条件や、CO2削減のニーズを考えると、日本にとって、原子力は今後も重要なエネルギー源であり続けるでしょう。加えて、世界紛争やエネルギー需要増による石油価格上昇という、原発ニーズを高める要因も依然存在しています。

--世界経済における新興国の役割が高まっています。BRICsのOECD加盟をどう考えますか。

現在、発展途上国、新興国、OECD諸国のパワーバランスが大きく変わってきており、BRICsのOECD加盟に対して、われわれは門戸を開いています。最終的に決断するのは彼らです。われわれはすでにブラジル、中国、南アフリカ、インドネシア、ロシアといった国々と緊密な関係を築いていますし、ロシアとは加盟交渉中です。こうした新興国の存在なしでは、真にグローバルな存在にはなりえません。

Angel Gurria
1950年メキシコ生まれ。メキシコで外相や財務相などを歴任、2006年から現職。経済問題におけるグローバルな対話と議論を重視、OECDはそのハブ的な役割を担うべきと強調する。彼のリーダーシップの下、チリやイスラエルなどOECDの加盟国を増やしている。

(聞き手:鈴木雅幸、佐々木紀彦 撮影:吉野純治 =週刊東洋経済2011年5月14日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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