沖縄「ブルーシールアイス」原料を変えた深いワケ 「沖縄人気を背景に右肩上がりで伸びてきた」

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これらに対し、同業他社としての意識はあるものの「メジャーになりたいわけではない。徹底的にニッチャー戦略を狙う」と山本氏は言う。商品開発においては、販売チャネルごとに訴求商品を変えるオムニチャネルを重視。例えばショップではスクープタイプのアイス、スーパーではカップアイス、コンビニではアイスバーのポーラーベアーといった具合だ。

「沖縄が輝けばブルーシールも輝く」

つまりお客の利用シーンに合わせた商品を提供しているということだが、沖縄経済発展のためもあるそうだ。

ブルーシールカップやポーラーベアーなど、販売チャネルに合わせた商品を訴求。商品数は50数種類に上る(撮影:今祥雄)

というのも、地元の生産者や加工業者などには小さな企業も多く、原材料の供給が限られる場合もある。そうした、供給元ごとに異なる供給力をもとにマーケティングを組み立て、県内の小売店、県内ショップ、県外ショップなど、流通量に応じた販売チャネルに卸しているわけだ。

さらにいえば、地元で作られる希少な素材は生産量が限られるため、沖縄県内のショップのみで、期間限定で販売されることも多い。

夏季限定の「トロピカルフローズンヨーグルト」(700円)。沖縄県産のグァバアイスとヨーグルトアイスのさっぱりとした酸味に、ドラゴンフルーツの凍らせた果肉が食感のアクセントを添えている ※沖縄県外での販売は8月末まで(撮影:今祥雄)

「沖縄が輝けばブルーシールも輝く。まずは沖縄で体制を盤石にしておき、沖縄が強くなれば県外にも出て行く。目標は『ワッターアイス(われわれの自慢のアイス)』と言われ続けることだ。なぜなら、当社は沖縄に育ててもらった、沖縄以外では生きていけない企業だからだ。沖縄が本土に復帰してから51年だが、われわれは創業75年だ。県内にまだ少ない、100年企業を目指していく」(山本氏)

全国区のチェーンとして展開を目指す中で、これからも課題は多いだろう。

沖縄は自然の美しい観光地というだけでなく、日本の歴史から見ても特別な存在だ。アイスのおいしい時期、ブルーシールアイスの提供する付加価値を楽しみながらも、同ブランドが生まれた背景や背負うものに対しても思いを寄せたい。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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