沖縄「ブルーシールアイス」原料を変えた深いワケ 「沖縄人気を背景に右肩上がりで伸びてきた」

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ブルーシールアイスクリームのルーツは1948年、米軍基地内で乳製品を供給する施設に遡る。1963年に現在の本店がある浦添市牧港に拠点を移してアイスクリームの販売を開始。つまりここで初めて、沖縄の人たちに手の届く存在となったのだ。

ブルーシールアイスの味の特徴として、よく言われるのが「さっぱりしている」という表現。高温多湿の気候に合わせて乳脂肪分を減らし、代わりに植物性の油脂を使っているのがその理由だ。

「しかしそのほかにも、『設立当初は乳製品が非常に貴重だった』という事情もあるのではないか」フォーモスト ブルーシール代表取締役の山本隆二氏はそう推測する。

店舗ではスクープアイスが人気No.1。しかし横浜ワールドポーターズ店では、夏はフローズンシェイク、冬期はクレープも売れるという(撮影:今祥雄)

いずれにせよ、暑いときには濃厚なアイスより、食感も味もさっぱりしたアイスがおいしく感じられる。ブルーシールアイスも地元民、そして観光客の間で評価を高めていった。

10年ほど前からはECも開始しており、お土産・ギフト需要も高い。「ふるさと納税」の返礼品としてもよく利用されているそうだ。

「沖縄観光の恩恵を受けていた」

組織としては、親会社であるポッカコーポレーションが2013年にサッポログループに統合されたことにより、現在はサッポログループ傘下にある。

コロナ前2019年の年商は約25億円となっており、山本氏によると、「沖縄人気を背景に右肩上がりで伸びてきた」そうだ。

しかしコロナ禍では観光客激減の影響を受け、年間売上高は17億円に。このことから、山本氏は2つのことに気づいた。

「年商25億円のうち8億円が観光客によるもの。当社の売り上げはずっと伸びてきたが、別にブルーシールが強かったのではない。沖縄観光の恩恵を受けていただけだったのだ。コロナ禍で観光客が来られなくても、地元のお客様が来てくれると高をくくっていた。地元のお客様にもっと支持されていると思っていた」(山本氏)

左はソーダにパイナップルアイスを合わせた、爽快感のある「ブルーウェーブ」と沖縄版クッキー&クリームといった趣の「塩ちんすこう」。右はアメリカらしいフレーバーのストロベリーチーズケーキと、南国らしいフレーバーのウベ(紅山芋)。レギュラーサイズダブル・コーンタイプ各680円 ※価格は店舗により異なる(撮影:今祥雄)

というのも、もともと同社では、地元のための地道な活動を続けてきていた。

例えば紅山芋など、沖縄素材を使用したフレーバーの開発。地域の産品を積極活用し、地域を活性化させる狙いもある。きっかけは2000年の沖縄サミットであったと、同社公式HPには記載されている。

現在も、店頭に並ぶ約20種類のうち8種類は沖縄素材だ。ほか、期間限定商品として沖縄素材フレーバーが加わることも多い。

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