苦境のUUUMが「広告会社へ身売り」を決めた必然 前期に赤字転落、創業者らが保有株売却で合意

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「現在のUUUMは、鎌田さんや一部のトップクリエイターへの『人依存』になりすぎている」。ある業界関係者はそう指摘する。

フリークアウト・ホールディングスによるUUUMのTOBに関する開示資料の一部
TOBに関する開示資料には、鎌田氏との間で、2年間はクリエイターの引き抜きをしないことなどで合意しているとの記載がある。傍線は編集部(記者撮影)

インフルエンサーマーケティング市場の拡大を背景に、YouTuberらクリエイター個人の求心力は年々高まっている。そうした中で事務所側には、個人では生み出せないようなサービスやサポートを提供し、クリエイターの育成・活躍を後押しする役割がいっそう求められる状況にあった。

UUUMは2021年にP2C Studioという子会社を設立し、所属クリエイターを起点としたブランド商品の展開などを強化してきたが、その他の領域ではクリエイターに対して十分な独自価値を提供できていないのが実態だ。「UUUMに所属しなくても、クリエイターに対してイベントや案件、グッズ制作などを提案する会社はいくらでもある」(元UUUM社員)。

UUUM買収の発表前まで1200円台で推移していたフリークアウトの株価は、足元で900円台にまで下落。前期に上場以来初の営業赤字に沈んだUUUMを傘下に収めることに対し、市場は厳しい評価を下している。

子会社2社を鎌田氏に売却

ネット広告領域に強いフリークアウトとの連携により、UUUMはマーケティング領域を強化していく方針だ。クリエイターのエンゲージメント向上を目的に「クリエイターファンド」の設立・運営なども表明しているが、「詳細についてはまだ言えない」(フリークアウトIR担当者)という。

今回のTOBと合わせて、UUUMは子会社2社の株式を鎌田氏に約2億円で譲渡することを明らかにした。同社は今期、大規模な人員削減や事業整理などの構造改革を進めており、その一環と説明している。

譲渡する1社のNUNWは2021年6月に設立され、NFTマーケットプレイス「HABET」の運営など新規事業領域を担ってきた。直近で4.6億円の赤字を出していたとはいえ、大きく先行投資してきた事業を早々に手放した格好だ。

5月期決算のUUUMは8月24日に株主総会を控えている。株主を前に、フリークアウト傘下となった先での成長シナリオをどう示すのか。復活への道筋は依然厳しそうだ。

髙岡 健太 東洋経済 記者

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たかおか けんた / Kenta Takaoka

宮崎県出身。九州大学経済学部卒。在学中にドイツ・ホーエンハイム大学に留学。エンタメ業界担当を経て、現在はM&Aや金融業界担当。MMTなどマクロ経済に関心。

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