東海道新幹線も廃止「車内販売」海外最新事情は? 休日など「街で何も買えない」時間帯の味方
日本では24時間営業のコンビニやさまざまなファストフード店が全国津々浦々にある。新幹線の駅があるような街なら「店がなくて何も買えない」といったことは少ないだろう。そうした状況で「車内ワゴン販売をやめる」と告知されると、やむを得ない流れなのかと納得する人も多いだろうか。
欧州でもコンビニ的な長時間営業の小型スーパーをあちこちで見かけるようになった。駅舎そのものがこうした店舗の設置場所として利用されるケースも多い。しかし、欧州の国々では、たとえコンビニであろうと日曜祝日は店を閉めてしまう。とくに休日の夕刻以降は絶望的にモノが買えない。そんな時、優等列車に乗り込み、食堂車やビュッフェカーに行けば、しっかりとした食事や冷えた飲み物にありつける。旅先で「街では何も食べるものが買えない」という時間帯にどれだけ助けられたことだろうか。
筆者は学生時代、食堂車が連結された0系新幹線で車内販売の仕事をしたことがある。時間帯によっては、乗客がほとんどいない車内を静かにワゴンを引いて通り過ぎるだけのこともあったが、わずかな乗客のうちの1人に呼び止められ、「お弁当があって助かった。朝から忙しくてご飯食べられなくてね」とわざわざ言い添えてくれた言葉が忘れられない。弁当を詰め込んだダンボール箱を頭に載せて、帰省客で混み合う列車内に無理やり入り込み、お腹を空かす人々に売りさばいたこともある。
「全列車で一気に終了」は妥当か
そんな経験や欧州での需要を見ると、車内販売は単なる旅客サービスの域を超えたインフラという面もあるかもしれない。
今回の東海道新幹線車内販売終了に関して、地方交通政策について大学で教鞭を取る湯川創太郎氏は、「現行全列車で行われているサービスをやめるというのではなく、人手が確保できて一定の需要が見込める時間帯の列車だけサービスを残せば、そこそこ利益が取れると思うのだが」と指摘。また、「JR東海は全列車のサービスを公平でありたいと考えているのだろうか」と述べ、全列車で車内販売を取りやめる同社の決定は利益を重視すべき民間企業の考え方とは乖離しているのではとの見方を示す。
需要がない時間帯にも一律のサービスを提供していては人件費や商品の準備に無駄が出るのは当然だが、提供するサービスの適正化ではなく、一気に終了を決めた判断ははたして妥当なのだろうか。
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