アメリカ企業で増える「トップガン系CEO」の実態 仕事は戦争!マッチョな軍隊式経営がカムバ
成長中のこの分野では、比喩が多く用いられる。オフィスは戦場であり、困難な四半期を「乗り越える」ことは「飛行機を着陸させる」、製品発売に向けて「一丸となる」ことは「部隊を結集する」と表現される。
仕事は戦争——。少なくとも一部のCEOにとっては、そう感じられるものだろう。そうした機運を捉えて到来したのが、「トップガン」流リーダーシップトレーニングの時代である。
「ソフトな経営」の気掛かりな揺り戻し
企業のオフィスは長きにわたって猛々しい雰囲気に満ちていた。怒鳴ったり、ののしったりする者、ラクロスのスティックを持ってフロアーをうろうろするトレーダーなどがそうだ。
ビジネスの世界で多様性と包摂性が推進される中、こうした行動には厳しい視線が向けられるようになった。ところが、経済情勢が厳しくなると威勢の良さが完全復活することもありえる、と話す経営の専門家もいる。
「経営層はここ何年かで彼らが失ったと感じている管理する感覚を取り戻そうとしている」。職場環境ストラテジストのカリ・ウィリアムズ・ヨストは「経営層は慣れ親しんだ方法で管理と権限を取り戻すことを模索している」と言う。
企業の採用では昔から軍隊経験が評価されてきた。ハリウッド映画は何十年にもわたり、軍の指導者を強い人物の究極の例として描いてきた。だが今では、企業幹部が実際に軍人のロールプレイングにいそしむようになっている。