このように、異なる性能と機能を持ちつつ同様の役割を担う多数の装備品を複数の領域で保有しなければならない。そもそも日本の防衛は日米共同対処を基本としているので、アメリカ軍との相互運用性が不可欠である。
領域横断作戦のような複雑な作戦のキルチェーン構築には、自衛隊の軍種間の相互運用性はもとより、アメリカ軍とのより高度な相互運用性を確立する必要がある。資源の有効活用という観点からも日米共同でキルチェーンを構築することが望ましい。
相互運用性とその課題
アメリカ軍の『統合ドクトリン』によれば、相互運用性とは、「通信システムまたは通信機器間で、情報等を直接かつ満足に交換できる状態や能力」を指す。
アメリカ軍は、第2次大戦中から、他軍種や同盟国と協力するためには通信における相互運用性が必要であることを認識し、現代までその能力を高めるためにさまざまな取り組みを進めてきた。
当初は、それぞれの軍種や兵科は、異なるテンポや距離、規模で戦うため、それぞれの領域に適した通信ネットワークを構築した。たとえば、比較的近距離の地上戦を戦う歩兵や戦車と、広大な海域で水中と海上、さらには空の脅威と戦う護衛艦を同じ規格のネットワークにつなげることは必要性に乏しく、逆に全体のパフォーマンスを減退させてしまう可能性があった。
個々の領域や戦い方で部分最適を求めてきたのだが、すべての領域を統合的に運用する領域横断作戦が主流となる現代戦に必要な態勢を構築するとき、この部分最適化された軍種ごとのネットワークが大きな課題となっている。
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