四半期利益1兆円!トヨタを悩ます2つのリスク 競争激化で利益減の中国、環境規制強化の北米

拡大
縮小

さらに、中長期では北米での環境対応もリスクとなる。

アメリカでは環境保護庁(EPA)が4月に温室効果ガスの排出規制の基準値案を公表した。規制では2032年に2026年比でCO₂排出量を6割弱減らさなければならず、そのためにはEV販売の拡大が不可欠。達成できない場合、規制を超過したCO₂排出量1トンに対して、一定のクレジットを追加で購入する必要がある。

5年間で5000億円のクレジットコスト

ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表アナリストは、トヨタは現状、EVの供給能力が限られているとした上で、「このままではトヨタは相当大きな規制対応コストを支払うことになりかねない」と指摘する。

中西氏の試算によると、CO₂排出量1トンに対して40ドルのクレジットを購入する必要があると仮定した場合、トヨタは2026~2030年にかけて累積6500万トンに上る温室効果ガスの不足クレジットが発生する見通しで、5年間で5000億円のクレジットコストがかかることになるという。

トヨタの4~6月のグローバルでのEV販売は2万9000台。今後は分厚い利益をEVやソフトウェアといった次世代領域に投資するとともに、主力市場に合わせたきめ細かい戦略を展開することが求められる。

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横山 隼也 東洋経済 記者

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よこやま じゅんや / Junya Yokoyama

報道部で、トヨタ自動車やホンダなど自動車業界を担当。地方紙などを経て、2020年9月に東洋経済新報社入社。好きなものは、サッカー、サウナ、ビール(大手もクラフトも)。1991年生まれ。

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