四半期利益1兆円!トヨタを悩ます2つのリスク 競争激化で利益減の中国、環境規制強化の北米

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ただ、「まだ3カ月の結果であって、何も見えてきていない」(トヨタ担当者)として、期初に示した営業収益38兆円、営業利益3兆円という通期業績見通しを据え置いた。

絶好調の足元で唯一の悩みのタネとなりそうなのが中国事業だ。

トヨタの第1四半期の中国事業はトヨタ・レクサスの販売台数が前期比8.6%増の49.9万台。他の日系メーカーが販売台数を減らす中で健闘しているものの、中国事業における連結子会社の営業利益は前年同期比25.7%減、持分法適用会社の投資利益は同31.9%減となった。トヨタは「激しい価格競争により販売費が増えたため」と説明する。

中国市場は現在、消費の冷え込みや新エネルギー車(NEV)と区分されるEVやプラグインハイブリッド車(PHV)との販売競争が熾烈になっており、値下げ合戦の様相を呈している。あるトヨタ幹部は「いまは台数を稼ぐために我慢比べをしている状況。われわれを含めた日本勢だけでなく、ドイツ勢も販売は厳しい」と指摘する。

1000人のリストラ、電動化では体制増強

トヨタはすでに対策を打ち始めている。トヨタ中国法人は7月、中国の地場大手・広州汽車との合弁会社である広汽トヨタで約1000人の従業員について、期間満了前に契約を終了したことを明らかにした。広汽トヨタ全体の約5%の規模にあたり、対象者には資金的な支援も行うという。

中国でのR&D拠点を再編し、電動化・知能化領域の現地開発を強化(写真:トヨタ自動車)

さらに、中国での電動化・知能化領域の現地開発を強化するため、中国最大のR&D拠点である「トヨタ自動車研究開発センター」の社名を「トヨタ知能電動車研究開発センター(IEM by TOYOTA)」に変更。第一汽車や広州汽車、BYDの合弁会社の人材をIEMの開発プロジェクトに投入するほか、現地での電動パワートレイン開発にはデンソーやアイシンといったグループの人材も参画させる。

部品設計や生産技術といった新車生産の基礎となる領域でのコスト削減にも着手し、「競争力のある商品をスピーディーに開発、提供することにチャレンジしていく」(上田達郎中国本部長)。こうした構造改革でどこまで巻き返せるかが、下期の中国市場を左右しそうだ。

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