修業時代の先生や先輩たち、マネージメント会社の社長や弟子たち、私がこれまで出会ってきたすべての人から学ばされたことは計り知れません。
そうして「清く、正しく、美しく」生きることに目覚め、自分を律することになりましたからね。
変わっていく価値観の違い
46歳から3年半所属していた個人事務所は、50歳になる少し手前で、それぞれの道を進むことになりました。
その後の仕事は、自分の事務所ですべてを担っていくことになりました。すると、仕事にかかわる全責任が私にのしかかってきます。
再び後ろ盾のない立場になって、それまでに経験したことのない苦労も味わいました。ヘアメイクの現場の仕事からは退きましたが、タレント活動と並行して、美容家として化粧品の研究開発やプロデュース、トークショー、執筆など、多忙を極める日常はこれまで以上。
ただ、多くのスタッフを支えている責任もあり、がんばるしかありません。タレントとしての仕事もぎっしり詰まっていて、日々に忙殺されるうち、いわゆる「ストレス太り」を招いてしまいました。体って、本当に正直ですね。
そんななか、長年勤めたスタッフが卒業して去っていく喪失感も味わいました。年齢を重ねていくにつれ、みんなの状況もそれぞれ変化していきます。独立していく人のほかに、体の調子が悪くなったり、親元に戻る事情ができたり、さまざまな変化の波が訪れます。
みなさんもある程度の年齢になると、子どもが巣立っていったり、親しい人が遠くに引っ越されたり、身近な人が亡くなるなど、人との別れで喪失感に襲われることがあるのではないでしょうか。
年を取るとつらい別れが増えていくのは当然の流れで、そう考えると、私にとって50代の10年間は、喪失感に慣れていくための訓練期間だったのかなと思えてきます。
人は時間の経過とともに、価値観も変わってきます。
昔はいっしょに同じ方向を向いていた人が、違うものに重きを置くようになって離れていくこともあるでしょう。例えば子どもが結婚すると、親より自分の家庭のほうが大事になるように、いつまでも同じ価値観でいるわけではありません。
なのに、「昔はこうだったのに」という思いをいつまでも引きずっていると、前を向いては進めません。相手の価値観が変わったことを受け止めて、過去のことは「いい思い出」として割り切るほうが、ポジティブに生きていけると思います。時計の針は巻き戻せないのですから。
私がそう考えられるようになったのは、最近です。自分を取り巻く状況や人間関係を冷静に見る目ができ、自分の心と向き合いながら、「幸せに生きるためにはどうしたらいいか?」と考えることが増えました。
私が歩んできた61年間は、すべて「なぜそうなるのだろう」という疑問から始まり、その答えを導き出しては、また次の疑問が出てくる。その繰り返しでした。
そうして私の人生哲学が育てられてきたのです。
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