釜石市が被災自治体でいち早く「復興まちづくり委員会」を連休明けにもスタート、野田武則市長に復興の方針を聞く

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--ものづくりの中核である線材の新日鉄釜石製鉄所と、FA空圧制御装置のSMC釜石工場は奥まった土地に立地していたので、早期復旧にこぎつけました。それでも漁業関係やリサイクル施設といった沿岸部の産業の多くが被災しました。雇用の受け皿をどう提供していくかは、人口流出を食い止めるカギです。従前から力を入れてきた産業振興を今後どのように推進してくのでしょうか。

震災前は、製鉄所と、SMCといった大手企業を核とした関連企業の集積を目指す産業クラスター化を目指してきた。正直なところ、今後どうなるかをお話するのは難しい。基本的には、国策である鉄で栄えた港町から、これに変わる産業を育成していくという流れは続く。
 
 他の沿岸地域と違う釜石の特色は、ものづくりの研究開発の蓄積と人材であるので、これを産業クラスター化の実現に生かしていきたい。

--釜石は高度な港湾機能を有していますが、内陸拠点都市からの陸上交通の不便さは、大企業の地元誘致が進まないネックとなってきました。震災復興を機に自動車専用道路の計画前倒しを要望していくのでしょうか。

震災前から深刻化していた高齢化、人口減に歯止めをかけるには、大手資本が三陸沿岸の町に拠点を設けることが求められる。それには、一心同体、運命共同体である岩手の沿岸市町村のさらなる交通インフラの整備が必要だ。
 
 自動車専用の高規格幹線道路(三陸縦貫自動車道、東北横断自動車道)はちょっとしかつながっておらず、早くつなげて、この地域の利便性を高める必要がある。こうした要望はこれまでも政府に対して行ってきたが、従来の道路整備の進捗状況であれば数十年間はかかっただろう。
 
 しかし、復旧・復興に効果的であれば、一気呵成にやれる可能性はある。道路建設によって、土地造成や埋め立ての工事で雇用の場も期待できる。土地の有効利用によって新事業が興せる。三陸道が釜石まで整備されると仙台まで2時間で結ばれる。公共埠頭もある岩手沿岸の中核都市である釜石の役割がアピールできる。
(聞き手:古庄 英一 撮影:尾形文繁 =東洋経済オンライン)


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