「サムライ」写真家が追った欧州国際急行の記憶 イタリア「セッテベロ」走行中の運転台で撮影も
すぐに食堂車に行くと、まだ営業前とあって列車のクルーや運転士たちが雑談していた。 「これから憧れのセッテベロの車内の写真を撮りたい」と自己紹介すると、運転士に「大歓迎さ、サムライマサトキ」と言われ、なんとその後運転士は運転を助士に任せっきりで車内をくまなく案内してくれた。
そして、当時開通したばかりのローマ―フィレンツェ間の高速新線・ディレッティシマを走り始めると私を階上の運転席に連れて行き、運転士自らマスコンを握って「撮れ、撮れ」という。速度計は最高速度の時速180kmに達し、その得意顔をスナップした。その後、さらに私は運転室内で信じられない体験をすることになった。
なんと運転台から撮影「セッテベロのすれ違い」
乗り心地が良いフィレンツェまでの間に食堂車でランチを済ませた。セッテベロのクルーたちからは大歓迎されているので、席も窓際の最上の席だ。ランチはまずロゼワインから始まる。ロゼワインはイタリア人にはまるで「お茶」代わりのようで、田舎の大衆食堂でランチをした時にはテーブルに飲み放題のロゼボトルが置かれていたっけ……。
前菜はボンゴレスパゲッティ。給仕はウィンクをしながら大皿からどっさりと私の皿に盛った。そしてメインデッシュ。こちらは巨大なサーロインステーキだったが、残念ながら少々固く決して美味しいとは思えない味で、日本の牛肉の美味しさを見直した。
そして、フィレンツェの手前では本来はフィレンツェの駅で顔を合わせるはずの、ローマ行きセッテベロ59列車とのすれ違いの瞬間を運転台から撮ることができた。これも運転士の「アレンジ」のおかげだった。
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