同じ頃には、インフラだけではなく「〇〇文化振興センター」などという名前の箱物も多くつくられました。これらの施設がメンテナンスもろくにされず放置されていることを考えると、それよりもはるかにお金がかかるインフラの整備が今後も進まないことは想像に難くありません。
国土交通省の発表によると、日本では建設後50年を超える橋梁は現在全体の約4割を占めていて、2033年には7割以上になる見通しです。
老朽化した橋を直すことができず、不便を強いられている人たちもいます。
たとえば、茨城県高萩市にある「菖蒲橋」は2016年に腐食が原因で橋の一部が落ちてしまいましたが、いっこうに修理が行われず、通行止めの状態が続いています。住民たちは菖蒲橋を使えないため、遠回りを余儀なくされています。また、壊れた状態のまま放置しておくと、台風の際に橋ごと流されるなどの危険があると不安の声をあげている人もいます。
このように、修理することも撤去することもできない橋や道路は不便なだけではなく、新たな被害の原因となる恐れもあります。こんなことは、自治体もわかっているはずですが、予算の関係上、対応することができていないのです。
100円ショップに大きな衝撃
2022年、イギリス人の私の夫は10年ぶりに日本を訪れました。彼は日本の現状を見て、大きな衝撃を受けていました。
街を歩けば、100円ショップや激安店が目立ち、看板には介護施設や高齢者向けの医療サービスの広告だらけになっているのです。
飲食店も昔よりも価格が下がっており、旅行者にはありがたいのですが、価格が下がるということはそれだけ儲かりにくくなっているということです。そんな先進国ははっきり言って日本だけです。
そして夫は「道行く人の服装や表情もなんとなく暗いね」と言っていました。
さらに、夫はイギリスの国立大学の研究者で、専門は経営学なのですが、世界各国のデータを見ていて毎回驚かされるのが日本人の「給料の安さ」だといいます。あまりにも給料が安いので、これは本当に先進国のデータなのかと信用ができないらしいのです。
もちろん彼は日本のデータ収集や統計の正確性はよくわかっているので、嘘のデータではないということは知っています。途上国や独裁国が出しているデータとはまったく違うのです。しかし、だからこその驚きなのです。
そして、私も実際に日本の上場企業や大学で働く人々の給料の金額を聞くことがありますが、「まるでギリシャじゃないか」と驚いてしまうほどの低賃金です。
加えて、夫が驚いているのは、イギリスの基準であれば5つ星ホテル並みのサービスを提供してくれる駅の駅員さんやファストフード店の店員さんがどれだけ安い賃金で働いているのかということです。
夫は大河ドラマや時代劇を延々と見て、毎日日本の歌謡曲を聞いています。そんな日本通の夫すら、いまだに日本人の給料の安さに衝撃を受けているのです。日本のことをあまり知らない経済学者や一般の人だとどれだけ驚くかは想像できると思います。
日本人は海外の人から見ると、信じられないほど低賃金で働いているのです。
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