しかし、やはりここにも階級や経済格差がはっきりしていて、リサイクルショップがあるのは経済的に厳しい地域であることが少なくありません。そして、リサイクルショップでものを買うのは、趣味目的やコレクションのためではなく、節約をしたいからという人が大半です。
そうした地域以外に住む人たちはあまり中古品を買わなくなっています。以前は「eBay」というオークションサイトでメルカリのように個人間で取引をする人が多かったのですが、最近は中古品の出品はかなり減っています。
リサイクルショップでは買う人だけではなく、売る人もお金がない人たちなので、品物の状態は当然よくありません。加えて、盗品や遺品が混じっていることもあるので、リスクもあります。
お金持ちは人に自分のものが使われることを嫌がって捨ててしまうことが少なくありません。ですから、海外の中流階級以上だと、近所にリサイクルショップはいらないと考えている人が大半なのです。
非常に実利的で損得をシビアに考える北米やイギリスの人たちでさえもリサイクルショップを使うのはある程度の階級以下の人であり、それ以外の人は基本的に使わないのです。
しかし、日本では中流以上に該当する人々でもリサイクルショップでものを買わざるを得ない状況になってきています。つまり、教育レベルや教養は中流のままですが、経済的にはだんだんと下流に転落しているということなのです。
「インフラ崩壊危機」を迎えている
日本の貧しさを表しているのは「価格」だけではありません。これ以外に、日本の没落具合を顕著に表している現象があります。
それは、日本のインフラがどんどん劣化していることです。
日本では最近、ずいぶんとひび割れた道路が増えました。昔は舗装されたばかりの道路が多かったのですが、ここ20年ばかりは老朽化してそのままになっている道路も少なくありません。歩行者が段差に取られて転倒しそうになっているところもよく目にします。
また、路肩や中央分離帯にも雑草が生え放題の地域が増えてきました。これは欧州の豊かな国だとあまり見られないことです。こういった国では、雑草の処理や街路樹の手入れなどのメンテナンスも細やかにやっているので、日本のように荒れていません。それも、中心地から離れた郊外の地域でもやられているのですから驚くべきことです。
一方、経済が停滞しているイタリアやスペイン、ギリシャなどの国だと話は変わります。道路はひび割れたところが増え、雑草が生え放題で街路樹はろくに剪定されていません。最近の日本は、欧州の貧乏な国に近づいてきているということでしょう。
しかも、これが見た目のみの話であれば、「見栄えが悪い」というだけですが、実際には深刻な事態に陥る危険性があります。
公共工事が行き届かず、大規模な修繕工事が行えないと、道路が陥没したり、陸橋が落ちたりといった事態が起こるようになります。また、河川の堤防などのメンテナンスが不十分だと、洪水や土砂崩れが頻発する恐れがあります。
日本でも最近、あまり耳にしなかったようなインフラのトラブルや事故が増えていると思う人もいるのではないでしょうか?
バブル崩壊後でもまだ豊かさの余韻があった1990年代の日本は次々に新しいインフラをつくっていました。しかし、90年代の半ばごろから今に至るまで、ほとんどメンテナンスをしていない道路や陸橋が相当あるのです。
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