「ChatGPT」を一過性ブームと考えてはいけない訳 「勝ち残る企業」「デキる個人」の必須ツールに

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生成AIの特徴は、金融や流通・小売り、製薬など、ITが本業ではない業界にも巨大な影響を及ぼすことだ。

チャットボットとして知らないことを聞いたり、アイデア出しに利用したりする事例は多いが、活用領域はもっと幅広い。これまで人間が手作業で行っていた資料の洗い出しや、定型書類の代筆などもできる。先行導入する企業の多くが、大幅な業務効率化の効果を実感する。人手不足の中、「人海戦術」型の事務仕事が多い業種ほど、活用メリットは大きい。

ボストン コンサルティング グループ(BCG)の試算によれば、生成AI市場は27年時点で1200億ドル(約17兆円)に達する。市場規模が最も大きくなると予想されるのが、金融だ。

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メガバンク3行が一斉に導入

日本のメガバンク3行はすでに生成AIの利用環境を導入。例えば三菱UFJ銀行では、5月から一部の行員が稟議書作成や、行内手続きの照会などにChatGPTを使っている。BCG金融グループ日本リーダーの陳昭蓉氏は、「DXに保守的だった銀行も、今回ばかりはスピートが速い。他社に後れまいとの危機感が強いのだろう」と指摘する。

もっとも現状は、「目的なき活用」も目立つ。企業向けに生成AIの導入支援を行うある企業は困惑する。「具体的な計画の下で導入するケースは少なく、新規事業として上から『何かやれ』と言われているケースがまだまだ多い」。

米オープンAIのサム・アルトマンCEOは6月に再来日。多くの日本企業トップと面会し、商機を探った(撮影:尾形文繁)
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