東京の満員電車再来?「鉄道混雑」どう変わったか 2022年度、国交省データを独自集計ランキング
コロナ禍による利用低迷を受けて運転本数や編成両数を減らすなど、輸送力を削減した路線は少なくない。データを集計すると、2021年度比で輸送力が2000人分以上減ったのは計19区間。最も大きく削減したのは常磐線快速(三河島→日暮里)で、1時間当たりの本数が19本から15本となり、輸送力は8048人分減った。
再び混雑するようになってきた通勤電車だが、それでもコロナ前と比べると輸送人員は大幅に減っている。2019年度のデータと比較すると、ラッシュピーク時1時間当たりの輸送人員が1万人以上減少したのは37区間。最も減ったのはかつて混雑率ワースト5の常連だったJR総武線各駅停車の錦糸町→両国間で、7万4820人から4万6860人へと約2万8000人減少した。輸送力も約1500人分削減されたが、それでも混雑率は194%から127%へと大幅に下落した。
殺人的ラッシュ再来は誰も望まない
2023年度も鉄道の利用回復は進んでいるが、都市鉄道の屋台骨といえる定期客の回復については、コロナ前の8~9割程度止まりと見込む会社が大半だ。一方で、レジャー利用や定期券を使わない通勤者の増加などで、定期外客については以前に近い、または同レベルまで戻るとみる会社も多い。
定期客がかつての水準に戻らなければ全体の輸送人員は以前より減るが、収入の面では、割引運賃でない定期外客の回復が進めばその分を一定程度カバーできる。例えば東急電鉄は2023年度の定期客数をコロナ前の2019年度比でマイナス21.6%と見込むが、定期外客の回復と値上げにより、運賃収入は同年度比マイナス1.8%と、かつてとほぼ同水準を確保できるとの予想だ。
混み合う電車の再来だけが、鉄道の「コロナ禍からの復活」につながるわけではない。以前のような、利用者も鉄道会社も疲弊するばかりの殺人的ラッシュに戻ることなく経営を維持できる体制づくりへ、新たな都市鉄道の姿を描く時代がやってきている。
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