そもそもビッグモーターの不正請求疑惑は、1年ほど前から雑誌メディアなどを中心に報じられていた。しかし相次ぐ報道に対して、同社の公式発表は迅速とは言えない、かつ情報不足な印象を覚えるものだった。
ビッグモーターは2022年9月5日、報道を受けて「お客様のご不安を少しでも軽減」しようと、メールと電話での問い合わせ窓口を設置したと発表。2023年1月30日には外部専門家による特別調査委員会を設置したとし、7月5日に「調査報告書を受領」したと報告している。
しかし、この時点では「自動車保険金請求において、不適切な行為があった」として、調査委員会から提言された再発防止策を紹介するのみで、被害件数や規模などについては触れられていなかった。
相次ぐ報道、国土交通相の記者会見後に公式発表
そんな中、複数のメディアから出たのが「報酬返上」の報道だった。共同通信が7月18日12時ごろ「兼重宏行社長の報酬全額を1年間返上とする方針を固めたことが18日、分かった。副社長や専務らも報酬の10~50%を3カ月返上する」(原文ママ)と最初に報じると、程なくしてほかのメディアもこの件を報道する。
そして遅れること数時間、ビッグモーター側が特別調査委員会による調査報告書を添えつつ、謝罪のリリースを公開。このリリースでは「報酬返上」にも触れており、経営責任を明確にするため、社長が1年間の報酬全額返上、副社長以下も報酬3カ月間(10〜50%)を自主返上すると発表した。
とは言え、実は、報告書をもとにした報道は、公式発表の数日前から行われていた。それでもダンマリを続けていたわけだが、突如として公表に至ったのは、「お上が動いた」ことも一因だろう。発表の数時間前、記者会見で報告書について問われた斉藤鉄夫・国土交通相は、以下のように述べたのだ。
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