シャンシャン住む中国の街で「パンダ炎上」の真相 有名歌手やゲームキャラを彷彿とさせるモノも
問題のパンダ像は、雅安の中心部からは10キロほど離れた「大興二橋」の上にあった。旅行者が通るような場所でなく、全長約1キロ、片側3車線の橋に歩道はあるものの、筆者が現地を訪れたときに歩いて渡っている人はいなかった。
パンダの輪郭をモチーフにした大きなゲートをくぐると、橋の上にパンダ像がぽつぽつと並んでいる。ピンクの着物を着て和傘をさしたパンダ像はその1つだった。説明書きによると、1972年の日中国交正常化を記念して日本に贈られた「ランラン」がモデルだという。
キャラクターも設定されており、「日本で日中友好を担い、和服を着てイベントに参加し、芸術や文化を経験した」と書かれていた。
ランランの隣には、一緒に日本に渡った「カンカン」がモデルの力士パンダ像もあった。
カンカンのキャラは「日本に渡った後、自ら希望して力士となり、白く真ん丸なお腹で多くのファンを獲得する」となっている。こちらも完全に「日本風味」だが、まわしをつけているだけなので目立たない。SNSにアップした人にも気づかれなかったのだろう。
さらに橋の反対側に、1980年に日本に贈られたパンダ「ホワンホワン」をモデルにした像があった。著名ゲームキャラクターを彷彿とさせる姿で、「日本のアニメに特別な思いを抱いており、日本でついに子ども時代の憧れのキャラクターに会えた」という設定だ。
知名度が高い34頭をモチーフに
実はこの橋に設置されたパンダ像は、雅安のマスコットキャラクターでひときわ大きい「雅雅(ヤーヤー)」と「安安(アンアン)」を除いて、いずれも雅安市出身で他国に贈られたり中国のパンダ飼育史に大きな足跡を残した知名度の高いパンダ34頭をモチーフにしている。雅安市によると設置されたのは2021年8月だという。
ランラン像が炎上した際、地元民から「ほかにも外国風の格好をしたパンダ像がたくさんある。和服パンダだけ切り取るべきではない」「友好の意を示したもので、批判される筋合いはない」と反論があり、炎上はすぐに落ち着いた。実際、海外に渡ったパンダはそれぞれの国を象徴する姿をしていた。
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