ディファレンシャルギアは電子制御され、E-Diffと名付けられたもので、電子制御のスタビリティコントロール(ESC)と連動し、「コンマ数秒で作動し、あらゆる走行状態で最高の操縦感覚をもたらします」とアストンマーティン。
とりわけ、E-DiffとESCの組み合わせは、コーナリング性能に大きく寄与。中速から高速まで、あらゆるカーブで最大限の駆動力を発揮し、車両を生き生きと走らせる。
たしかに、これまでの機械式リミテッド・スリップ・ディファレンシャルギア(LSD)だと、駐車場など低速でも作動し、ガツガツとクルマが動いて違和感があった。DB12にはそれがない。ごく自然。
乗ってみると、アストンマーティンが言うようにコーナリングは実に気持ちよい。小さなカーブだろうと、ドライバーとの一体感をもたらしながら、すいすいとこなしてしまう。変速のタイミングも賢く、選んだモードに応じてドライバーの期待にしっかり応えてくれる。
後輪操舵システムは持たないが、これについては「開発段階で検討はしましたが、DB12で目指した操縦性において必要はないと判断して見送りました」と、エンジニアリング担当のシニアマネジャー、ジェイムズ・オーウェン氏が説明してくれた。
明確なまでのアグレッシブさ
足まわりは、再設計されている。形式はフロントがダブルウィッシュボーンで、リアがマルチリンク。今回は加えて、スカイフック理論で制御した電子制御のアダプティブダンパーが採用された。
また、前後のトレッドは拡大され、コーナリング性能に代表されるハンドリング性能の向上が目指されるとともに、ボディ剛性も7%引き上げられている。前後サスペンションを強化メンバーで結ぶことで、「ハンドルを切ったときの車体の動きがスムーズになる」という。
ステアリングシステムも「スーパーツアラーというコンセプトのもとに改良しました」(オーウェン氏)とするが、特に重視したのは、「路面からの情報をしっかり伝えてくれること」と「応答性の高さ」だ。
おもしろいのは、コンセプトを明確に「アグレッシブ」としている点だ。実際に操縦すると、ドライブモードによって、おもしろいようにキャラクターが変わる。
でも、一貫して感じるのは、ステアリングレスポンスの許容度の高さだ。やたらとシャープすぎない。でも、クルマを“着ている”ような気がするほど、しっかりとした応答性がある。
「そこは狙いでした」と、オーウェン氏は私の感想にうなずいてくれた。
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