アストン「DB12」あえて新ジャンルと称する根拠 グランドじゃ物足りない高級クーペの超進化

✎ 1〜 ✎ 56 ✎ 57 ✎ 58 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小


長いボンネットをもつ「2+2」のスタイルは、同社の黄金時代のヘリテイジだとされる。

1948年から1970年代にかけて、数々の魅力的なモデルを送り出し(中にはボンドカーのDB4も)、ルマン24時間レースでも優勝するなどモータースポーツの世界でも活躍。この時期のオーナーだったデイビッド・ブラウンの功績は、今も「DB」として大切にされているのだ。

DBの名は1948年のDB1に端を発する伝統あるもの(写真:Aston Martin Lagonda)

一方で、先のロング氏の説明にあったように、アストンマーティンはさまざまな点で時代に先駆けようとしている。

ミッドシップの4リッターV8エンジンにアストンマーティンとしては初めて電気モーターを組み合わせ、1000馬力超のパワーを発揮するという「Valhalla:バルハラ」を2022年に発表(発売は2024年)。

次に、「Valkyrie:バルキリー」が控えている。バルキリーは、軽量・高剛性かつ高価なカーボンファイバーで作られた車体に、コスワースと共同開発した6.5リッターV12エンジンを搭載。

「F1マシンに限りなく近いが、サーキット走行に限定されない」(アストンマーティン)とされるのが、バルキリーだ。価格は4億円に近いというが、「受注は好調」というから驚く。

限りなくF1マシンに近い公道走行可能なスポーツカー、Valkyrie(写真:Aston Martin Lagonda)

2023年6月26日には、「Racing Green.」なる電動化戦略を発表。電気自動車(BEV)のテクノロジー企業であるアメリカ・ルーシッドグループとの提携関係を通じて、2026年までにすべての新型車に電動パワートレインの選択肢を設けるとした。

DB11→12へのテーマは「動力性能アップ」

そんな中にあって、DB12。“ちょっと旧態依然”のモデルである。3982ccのV型8気筒エンジンを前車軸とフロントバルクヘッドの間に搭載した、いわゆるフロントミッドシップのレイアウトを踏襲するし、電気モーターは搭載しない。

とはいえ、今回は動力性能アップが重要なテーマだから、DB11から大幅に手が加えられている。ターボチャージャーは大径化した2基を搭載。最高出力は393kWから500kWへと上がっている。最大トルクは675Nmから800Nmに。

フロントにミッドシップされて500kWもの大パワーを発揮するV8エンジン(写真:Aston Martin Lagonda)

「高出力化は、カムシャフトのプロファイルを変更し、圧縮比を上げ、大径ターボチャージャーを装着。さらに、オイルクーラーの表面積をDB11の2倍にするなど、冷却効率の向上の採用で達成」したと、アストンマーティンはプレス向けリリースに記す。

8段のトルコン式オートマチック変速機をリアディファレンシャルギアと一体化し、重要配分の適正化を狙ったトランスアクスル方式も踏襲。後輪を駆動する。

次ページ後輪操舵をあえて装備しない操縦性
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事