新幹線の本数は、なぜ週の後半に増えるのか 運行ダイヤでわかる日本人の行動

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ただし、ダイヤが日々異なると言われるだけに細かく見ていけばどこかで違いが見つかるのであろう。はたしてまったく同じダイヤとなる日は存在するのかを調べてみた。

まずは終日での「のぞみ」「ひかり」「こだま」の運転本数で比較してみよう。すると、14日と21日、4日と8日、24日と31日、18日と30日という組み合わせ以外は脱落となる。続いて、「のぞみ」「ひかり」「こだま」各列車の行先別の本数で比べると、残るは早くも14日と21日、24日と31日の2通りだけだ。

いま挙げた2つの組み合わせも、時間帯別に運転される列車の本数で比較すると相違が生じる。という次第で、2015年5月のそれも下り列車だけという極小さなサンプルながら、東海道新幹線の列車のダイヤは連日異なっていることが明らかとなった。

なぜダイヤのパターンを集約しないのか?

いったい、JR東海はどのような基準でダイヤを設定しているのだろうか。列車の本数を曜日で見ると、ビジネスでの利用者が最も多い金曜日がピークとなり、利用者の少ない土・日曜日が谷となるという。

月曜日から木曜日までの間の動向はというと、週の後半になるに従って利用者が増える傾向にあるので、列車の本数も月曜日よりは火曜日、火曜日よりは水曜日という具合に増えていく。年末年始やゴールデンウィーク、旧盆、さらには連休の時期には曜日にとらわれず、必要に応じて列車を走らせる。

列車の本数は季節ごとでも調節されているという。秋の行楽シーズンには京都方面への観光客が増えるので、朝の列車の本数も多くなる。また、寒い冬には早朝に出発する列車を利用する人が減る傾向にあるので、ビジネスでの利用者が多い日といえども、ほどほどの本数に抑えるそうだ。

JR東海はなぜこれほどまでに細かくダイヤを変えているのだろうか。それは輸送需要がいかに多かろうとも乗車率が高くなりすぎないようにし、指定席を確保しやすくするためであるという。

ならば、東海道新幹線のダイヤは月曜日から木曜日まで、金曜日、土曜日、休日の4パターンに集約すればよいのではなかろうか。列車の本数を木曜日に合わせた結果、月曜日には少々無駄が生じるが、それでもダイヤを単純化できるメリットのほうが上回ると思われる。

実際のところ、空席の目立つ列車を多数運転してもJR東海の懐は案外痛まない。同社の見解は次のとおりだ。

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