新幹線の本数は、なぜ週の後半に増えるのか 運行ダイヤでわかる日本人の行動

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いま引用した記述は、日々ダイヤを変え、需要に応じて列車を躊躇せずに増発を行う理由を示したものだ。詳細なデータが省かれているので何とも言えないものの、言い換えればあらかじめ列車の本数を最大限に設定しておき、空席が目立つ列車を運転してもよいという理由にもなる。

1キロメートルの運転にかかる営業費は約8000円

とはいうものの、列車の本数の多い日に合わせてダイヤを単純化すると変動費が無視できない値に増加し、一方で乗車率が芳しくないとなれば、やはり東海道新幹線の利益率が低下していくに違いない。

在来線を含むJR東海の列車1本を、1キロメートル運転した場合の営業費は2012年度は8054円であり、東京-新大阪間の実際の距離である515.4キロメートルに列車を運転した場合の営業費は415万1099円に達する。

変動費は列車の運転に必要な運転費と駅などの維持に必要な運輸費分とを合わせた22%分となると考えられ、仮にまったく利用者の乗らない列車を東京-新大阪間に走らせれば91万8860円が無駄になってしまう。

結局のところ、いくらわかりやすいダイヤがよいからと言って、5月11日のように1日152本運転されていれば十分な日に対し、金曜日を除いた平日のピークである22日と同じ174本もの列車を運転しようとはJR東海は考えていない。それでも単純なダイヤを目指し、曜日別のダイヤを設定すればよいとも言えるが、ここまで細分化するならば日ごとにダイヤを設定しても同じ、と同社は判断しているのであろう。

かくして東海道新幹線は、昨日とも明日とも異なるダイヤで今日も運転されている。東海道新幹線のダイヤに関するデータを長年にわたって集めておくと、三大都市圏を移動する人々の動向を如実に示す簡易版のビッグデータが得られるのだ。

梅原 淳 鉄道ジャーナリスト

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うめはら じゅん / Jun Umehara

1965年生まれ。三井銀行(現・三井住友銀行)、月刊『鉄道ファン』編集部などを経て、2000年に独立。著書多数。

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