富士通で「社会起業家」として働く社員の生き方 一般社員と何が違う?どのように評価される?

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そして、社内で社会課題にチャレンジするソーシャル・イントラプレナーの存在は、社内の人々が「自分もできるかもしれない」「チャレンジしてみたい」といった気持ちになるきっかけになり得ると考えています。多くの人たちのチャレンジは、会社を良い方向に動かし、社会課題解決のための大きな一歩になります。

ソーシャル・イントラプレナーとSDGs

SDGsは、企業でも注目されるようになりました。環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して投資するESG投資などの文脈も、社会課題解決にチャレンジする人たちの追い風になっています。社会課題解決のために自らが起業するというのも一つの手段ですが、マネタイズの問題にすぐに直面してしまい、本当に自分がやりたかったことに100%の力を注げないということも出てくるかもしれません。

成果が出るのに時間のかかる社会課題の解決に向けたチャレンジこそ、比較的体力のある企業だからできることであり、ソーシャル・イントラプレナーとSDGsは良いペアリングのような気がしています。ソーシャル・イントラプレナーを育てることは、企業にとってもブランディングや人材採用につながることはもちろん、新しいビジネスチャンスに挑戦する良いきっかけにもなると思います。

SDGs時代のソーシャル・イントラプレナーという働き方
『SDGs時代のソーシャル・イントラプレナーという働き方』(日経BP)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

このように振り返ると、私がソーシャル・イントラプレナーとしてプロジェクトをすんなりと進めてこられたように見えますが、実際には毎日がむしゃらに動き回りながら、何度も壁にぶつかっていました。私は、プログラミングが突き抜けてできるわけでもなければ、3Dモデリングや電子工作が得意でもない。マーケティングやブランディングに関しては、まるっきり素人でした。それでもオンテナを世に出したいという思いだけは人一倍強く持ち続けていました。

自分の思いを発信すると、できないことを手伝ってくれる人が現れます。社会課題に対してチャレンジしたいことをお持ちの方は、どんな形でもいいので、ぜひ社内に発信してみてください。きっと周りにいる誰かが力になってくれるはずです。一方、身近に感じる社会課題がないという方も多くいらっしゃると思います。そんな方は、近所のボランティアやSDGs関連のイベントに参加してみることをお勧めします。住んでいる地域のウェブサイトには、様々なボランティアやイベントの情報が掲載されています。

現場に行ってみると課題に気づいたり、当事者に会って会話をすることで、遠い存在だったことが身近に感じられたりするようになると思います。

本多 達也 富士通 Ontennaプロジェクト リーダー

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ほんだ たつや / Tatsuya Honda

1990年香川県生まれ。博士(芸術工学)。大学時代は手話通訳のボランティアや手話サークルの立ち上げ、NPOの設立などを経験。人間の身体や感覚の拡張をテーマに、ろう者と協働して新しい音知覚装置を研究。2014年度未踏スーパークリエータ。2016年度グッドデザイン賞特別賞。Forbes 30 Under 30 Asia 2017。Design IntelligenceAward 2017 Excellence賞。Forbes 30 UNDER 30 JAPAN 2019 特別賞。2019年度キッズデザイン賞特別賞。2019年度グッドデザイン金賞。MIT Innovators Under 35 Japan2020。令和4年度全国発明表彰「恩賜発明賞」。Salzburg Global Seminar Fellow。2022年よりデンマーク・デザイン・センターにてゲストリサーチャー。

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