富士通で「社会起業家」として働く社員の生き方 一般社員と何が違う?どのように評価される?
オンテナは現在、全国聾学校長会に所属する8割以上のろう学校に導入されていて、発話練習やリズム練習を中心に活用されています。また、映画やスポーツ観戦、音楽ライブ、狂言などの様々なイベントにおいて、ろう者だけでなく、聴者の方々に対しても臨場感や一体感を与えるような新しい体験を生み出しています。
2019年の『24時間テレビ』では、浅田真央さんがオンテナを使用してろう学校の生徒たちとタップダンスを披露する様子が放送されたり、2020年には星野源さんの楽曲「うちで踊ろう」とのコラボレーションがNHKで特集されたりと、徐々に注目されるようになってきました。また、「グッドデザイン賞金賞」「Forbes 30 Under 30 Asia」「MIT Innovators Under 35 Japan」「全国発明表彰『恩賜発明賞』」をいただくなど、少しずつ評価していただけるようになってきました。
企業で社会課題をテーマに新規事業を立ち上げようとしている人たち、大学や企業で取り組んでいる研究を社会に広めたい人たち、社会問題に対して自分がやりたいことの一歩が踏み出せない人たちにとっても、ソーシャル・イントラプレナーという働き方が参考になるかもしれません。
一般的な会社員と何が違うのか?
ソーシャル・イントラプレナーは、一般的な会社員のように、上司や先輩からの指示を待ち、少しずつ仕事を覚えるのではなく、何をやるのかを自ら考え、やるべきことを自分自身で決定し、行動する必要があります。
私が富士通に入社した時点では、オンテナのプロジェクトメンバーは私1人だけでした。私はポツンと空いていた席に座り、周りはそれぞれのプロジェクトで忙しそうにしているという状態でした。誰かが何かを指示してくれるわけではないので、メンバー集めからスケジュール管理、予算管理やネットワーク形成など、自ら主体的に考え、動かなければなりません。報告資料や稟議といった事務作業など、「正直、自分がやらなくてもいいのでは」と思うタスクも、自分自身で行う必要があったため、時々心が折れそうになることもありました。
逆に言えば、自分がやりたいと思ったことは、自由に行動することができる環境が整っていました。例えば、「このようなプロトタイプを作りたい」「こういったイメージのプロモーションビデオを撮りたい」というアイデアを思いついたら、実行するかどうかは私自身で決めることができます。
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