富士通で「社会起業家」として働く社員の生き方 一般社員と何が違う?どのように評価される?

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感謝すべきは、入社したばかりの私に、リポートライン(報告経路)のトップが予算と決定権を与えてくれたことです。総合デザインセンターという組織のセンター長直下に所属し、基本的には私がやりたいということに対して応援してくれ、予算を使わせてもらうことができました。

総合デザインセンター長には隔週で、常務には月に1度くらいのペースでプロジェクトの報告をする機会が与えられました。まだ売るものもない状態だったので、評価の指標は、社会的インパクトや人的ネットワーク構築など。「どのくらいの数のメディアに掲載されたか」「SNSでどの程度注目されたか」「新しい団体や人物とのリレーションをつくることができたか」といった内容を社内で報告していました。

加えて「オンテナを見て富士通に入社しました」と言って入ってきた新人がいることを人事から教えてもらい、リクルート効果についても社内でアピールするようにしていました。おそらく会社側も、私とオンテナをどのように評価をしたらいいか、定まっていなかったのかもしれません。幸い、グッドデザイン賞などの外部評価を獲得することができたため、社内の評価も少しずつ上がっていきました。オンテナを会社のブランディングの一環として活用する動きが高まり、会社のパンフレットやウェブサイトなどでも紹介してもらえるようになり、プロジェクトを存続させることができました。

メリット、デメリットは?

一般のアントレプレナー(起業家)と比較したとき、社内リソースを活用できることがイントラプレナーの大きなメリットの1つです。エンジニア、デザイナー、マーケターといったプロフェッショナルから、企業特有のものづくりのノウハウまで、プロジェクトを推進させるためのリソースとして活用することが可能です。さらに、企業のブランド力も生かすことで、初対面の方に協力をお願いしやすいというメリットもあります。オンテナのテストマーケティングで全国のろう学校を訪問したときも、「富士通の本多です」と自己紹介することで、スムーズに話を進めることができました。

また、企業が既に持っているネットワークも活用できます。私が富士通のオリンピック・パラリンピック関連部門に所属していた時期には、Tリーグや能楽協会といった、なかなかリーチすることのできないステークホルダーの方たちとコラボレーションすることができました。

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