トップは30万円!銀行員の「初任給」ランキング 賃上げ狂騒曲がメガバンクや地銀にも波及した
銀行業界で初任給の引き上げラッシュが起きている。昨今の物価上昇に加え、商社やコンサルティング会社に学生が流れることへの危機感からだ。が、ライバル行に負けられない、という横並び意識も拍車をかけているようだ。
「まさかそこまで上げるとは」。2月、1本のニュースが銀行業界を駆け巡った。三井住友銀行が2023年4月入行の大卒初任給を25万5000円へと引き上げる方針を固めたのだ。
22年までの大卒初任給は、メガバンクやほとんどの地方銀行で「20万5000円」だった。5万円もの引き上げで横並びを崩した三井住友の決定は、その後、銀行業界を席巻する賃上げ狂騒曲の序章にすぎなかった。
先陣を切った三井住友に他行も続いた
次に動いたのはみずほ銀行だ。銀行や証券、信託などグループ各社の採用を一本化、バラバラだった初任給を統一した。24年4月入行からの大卒初任給は26万円と、三井住友を上回る水準に躍り出た。
「このタイミングは想定外だった」。2社の動きに慌てたのは三菱UFJ銀行だ。もともとは25年4月から人事制度を刷新する予定で、初任給も同時期に改定する手はずだった。2行に後れを取るまいと、急きょ24年4月入行の初任給を25万5000円に引き上げた。
メガバンクが大幅な初任給アップを提示する中、地方銀行も知らんぷりを決め込むことは難しくなった。金融庁からも人的投資の一環で賃上げを勧められたという。
「おたくはどれくらい上げるつもりですか」。今春、東日本のある県では、同県に本店を構える複数の地銀の人事担当者が鳩首協議を重ねていた。議題は言わずもがな、初任給の引き上げだ。「下位行にとっては負担だが、採用に差がつくのはよくない」。ある地銀幹部は打ち明ける。ライバル行との間で引き上げ幅の水準をすり合わせたという。
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