米議会はオバマに貿易促進権限を与えるべき 米ハーバード大のマンキュー教授が忠告
米連邦議会の議員たちに経済学のイロハがわかっているかどうかテストをしたら、はたして合格点が取れるだろうか。
その試金石となるのが、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉における貿易促進権限(TPA、いわゆるファストトラック権限、貿易交渉を進める強い権限)をバラク・オバマ大統領に委ねるかどうかという問題だ。
TTP交渉妥結への重要な一歩
オバマ大統領にTPAを与える法案は、民主・共和両党の一部有力議員の支持を得ている。たとえば上院財政委員会のオリン・ハッチ委員長(共和)に、同委員会の民主党のリーダーであるロン・ワイデン議員、下院歳入委員会のポール・ライアン委員長(共和)など……。
上院財政委員会と下院歳入委員会は先週、この法案を可決した。だがエリザベス・ウォーレン上院議員(民主)など、これに反対する有力議員もおり、本会議を通過できるかどうかは予断を許さない。
経済学者の目から見れば、答えは考えるまでもなく明らかだ。先月、筆者(ハーバード大学のN・グレゴリー・マンキュー教授)はジョン・ベイナー下院議長(共和党)とミッチ・マコネル上院共和党院内総務、ナンシー・ペロシ下院民主党院内総務、ハリー・リード上院民主党院内総務への公開書簡に署名した。
私とともに署名したのは、大統領経済諮問委員会(CEA)の委員長経験者である13人の経済学者だ。私も2003~2005年にかけて委員長を務めた。ジェラルド・フォードからオバマまで歴代の大統領に仕えてきた委員長たちだ。
公開書簡で私たちはこう訴えた。「国際貿易は米経済にとって基本的に善であり、長期的に見て米国の世帯に利益をもたらすし、国の政策の優先課題とも合致する」。
だからこそ私たちはTPA法案に賛成している。これがあればTPPや欧州との環大西洋貿易投資協定(TTIP)の交渉で相手国と合意することも可能になる。