「最高値更新ランキング」に表れる日本株の強さ バブル後最高値で勢いづく「日経平均4万円」説

拡大
縮小

こうした期待が膨らむ背景には、総合商社株の変貌があるのかもしれない。

伊藤忠商事を除く大手4社では、これまでPBR1倍割れが常態化。業績の割に株価は冴えなかった。野村証券の成田康浩リサーチアナリストは、「総合商社は時に多額の損失を計上することがあるうえ、資産の入れ替えも十分ではなかった」と指摘する。

だが最近は、過去の反省を生かして投資を実行する一方、株主還元も強化している。そうした中、5大商社の株にいち早く目をつけたのが、アメリカの著名投資家、ウォーレン・バフェット氏だった。

今年4月にはバフェット氏が訪日し、各社の経営トップと相次いで会談。6月には平均8.5%超まで株を買い増しした。バフェット氏が食指を動かしたことも相まって5大商社の株価は上昇を続けた。その結果、現在はおおむねPBR1倍割れを解消している。

海外投資家が日本に目を向ける地合いも整いつつある。「日本銀行の黒田東彦前総裁の下、日本経済は長く続いたデフレから脱却することができた」(窪田氏)うえ、利上げに踏み切った欧米とは異なり金融緩和策を継続している。

相対的に高まる日本株の魅力

不安定な国際情勢も有利に働いている。海外投資家が警戒感を強めるのは何といっても米中関係の悪化だ。

実際、バフェット氏は3月末までに、半導体受託生産の世界最大手である台湾TSMCの株式をすべて売却した。中台間の地政学リスクが念頭にあったとされる。地政学リスクの低い投資先として、日本という選択肢は十分有望という訳だ。

海外投資家の買い余力はまだ大きいとみるのは、SMBC日興証券の伊藤桂一チーフクオンツアナリスト。「アベノミクスの際に海外投資家は、12年11月から15年5月までに日本株を20兆円以上買い越した」と指摘。一方で、今年3月末から6月初旬までの買い越しは約5兆円にとどまるという。

上場3863銘柄中285銘柄が2023年に入って最高値を更新した(6月23日時点)。そこで今回、過去の最高値を久々に更新した企業を抽出、更新までに要した時間の長さでランキングにしてみた。

(※外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

次ページ最高値を久々に更新した企業をランキング
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT