コスモ、株主総会で村上ファンド系に薄氷の勝利 大株主を排除しても買収防衛策の賛成率は59%
一方コスモは、「『村上氏側の議決権があったら』と仮定して考えるのは誤りだ」と主張する。MOM決議そのものに反対する株主も多数いたとみられ、普通決議だった場合は、「まったく別の議案になる」(担当者)という主張だ。
今回なぜ、コスモはMOM決議に踏み切ったのか。株主総会の場で山田茂社長は、「(シティ以外の)ほかの株主が極端に不利な状況に陥ることが想定される」と強調した。
総会後、シティが市場内で急速にコスモ株を買い進める蓋然性が高く、一般株主が意図せず株を売り急ぐ「強圧性」が生じる。強圧性を受ける一般株主の意思を反映するためには、強圧性をかける側のシティの議決権を除外する必要があるという。
ただ、株主総会に出席した一般株主はこう話す。「どんなにいい提案でも、経営側が気に入らなければMOM決議を採用する例が、今後増えかねない。外国人投資家に、日本株は買いにくいとそっぽを向かれてしまうおそれがある」。
村上氏側も支持を得られなかった
今後の対立の行方はどうなるのか。注目点の1つは、MOM決議をめぐって訴訟に発展するかどうかだ。
シティは総会直後、「経営陣が自分たちの気に入らない株主については議決権の行使を認めないというのは、到底許されるものではありません」「(MOM決議は)正当性を欠いた無効の決議」とするコメントを発表し、反発。東京機械製作所事件のように、ファンド側が会社側に防衛策発動の差し止めを求めた例もある。
コスモ側は、「われわれは(現段階で)買収防衛策を発動していない。仮にシティが訴えても、保全されるべき利益はない。複数の法学者から意見を聴取し、MOM決議の妥当性も確認している。訴訟リスクは高くない」(担当者)と語る。
企業の買収防衛に詳しいIBコンサルティングの鈴木賢一郎社長は、「MOM決議では会社側が厳しい目を向けられた一方、村上さん側も一般株主の支持を得られなかった」と話す。
シティ側が提案した社外取締役1人の選任議案の賛成率は25.93%。提案者のシティ票を除くと、賛成率はわずか3%だった。「村上さん側は訴訟を起こしてもメリットが大きくない。今後は会社側と交渉して、保有株を自己株TOB(株式公開買い付け)などで買い取らせるのではないか」(鈴木氏)。
熾烈な争いの勝者は誰なのだろうか。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら