ユニクロ「日本式接客」は海外で定着するのか メルボルン店を取材して分かったこと

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メルボルンのユニクロ店員は、会話は必要最小限に留めているようだ。質問をすると、ウエストポーチからメモや案内を取り出して丁寧に教えてくれるが、それが終わると客が手にとった服をたたむ作業に戻る。

ニコラさんは、自身がジーンズを選ぶときの経験を話してくれた。

「ユニクロでは、ジーンズを探している、と店員伝えると、売り場はあちらです、と丁寧に教えてくれて、それで終わり。忙しそうに仕事に戻ってしまう。私がよく行くほかの小売店だと、店員が一緒に売り場についてきて、色や形はどれがいいか選んでくれるんだけど」。

もちろん、どちらの接客がいいかは人それぞれだろう。だが、店員の一方的な声かけが普通の日本に対し、店員と会話をし無駄話も楽しむオーストラリアでは、少し寂しく感じられるのかもしれない。

「日本の服はオーストラリアではなかなか手に入らないから、ユニクロは人気だと思う。でも、接客はもっと会話が弾むオーストラリア式のほうが好きかな」

ニコラさんはこう締めくくった。

それでも日本式にこだわる

とはいえ、その違和感は、ユニクロが"狙って"やっていることだ。2000年代初頭にユニクロはロンドンやニューヨークなどに展開した際には、現地で経営者を採用し、現地の商慣習に合わせた展開を実施。あっという間に頓挫した苦い経験がある。

ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長は、かつて次のように言っていた。

「たとえば、われわれがフランスに行って、フランスの小売業とか、フランスのSPAと同じことをするんだったら、わざわざ苦労して日本から行くことはないのです。ロンドンで失敗してそれに初めて気づいた。そういうことは期待されていない」(「世界中どこでも「同じユニクロ」を目指す」より)

現地と同じことをやるのであれば進出する必要はない――このスタンスは今も変わっていないようだ。

岡 ゆづは 東京大学4年生

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おか ゆづは / Yuzuha Oka

1994年生まれ。東京大学教養学部4年生。2014年オーストラリア・メルボルンへ留学し、フリーランスジャーナリストとしての活動を開始。オーストラリアの国営放送局、ABCとSBSのニュースルームでインターンとして働き、英語での取材やニュース原稿執筆、ラジオ番組の制作などを行っている。

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