鉄道車両と自動車、意外に多い「技術的な共通点」 お互いに影響を及ぼしながら発展してきた

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「自動運転」は、鉄道で早期に実現している。鉄道では、車両の進路があらかじめ決まっていることもあり、「自動運転」が導入しやすいからだ。列車に乗務員が乗らない完全自動運転による無人運転は、1981年に神戸で開業した新交通システム「ポートライナー」で、世界で最初に実現した。

「シェアとサービス」は、もともと鉄道で実現していたものだ。鉄道は、施設の規模が大きすぎて個人による所有が難しいため、不特定多数の旅客がシェアする公共性の高い交通機関として機能しており、鉄道会社が旅客に輸送サービスを提供している。

最後の「電動化」は、先述した通り、鉄道で先に実現した。鉄道は、車両の進路が厳密に決まっているため、外部から電力の供給を受けるしくみ(集電システム)を導入しやすいことが大きく関係している。

以上のことから、「CASE」は自動車よりも鉄道で先に実現したと言える。それゆえに、2021年に開催された「鉄道技術展」では、複数の講演者が「CASEの実現は鉄道が先」「自動車が鉄道に近づいている」と述べていた。

自動車が鉄道に与えた影響

最後に(3)の「自動車が鉄道に与えた影響」を見てみよう。

自動車で実用化された技術の中には、鉄道に応用されたものがある。その代表例がハイブリッド技術と、リチウムイオン電池や燃料電池を電源として搭載する技術だ。

これらの技術は、自動車で先に実用化された。一般販売された乗用車において、エンジンとモーターの両方を使って駆動する世界初の量産型ハイブリッド自動車は、1997年にトヨタ自動車が販売した「PRIUS(プリウス)」、大容量のリチウムイオン電池を電源とした世界初の量産型電気自動車は、2009年に三菱自動車が販売した「i-MiEV(アイ・ミーブ)」、燃料電池を搭載した世界初の量産型燃料電池自動車は、2014年にトヨタ自動車が販売した「MIRAI(ミライ)」である。

こうした自動車の動きに、鉄道技術者も反応したはずだ。なぜならば、これらの技術を導入して温暖化効果ガスの排出量を削減することは、自動車のみならず、鉄道にも共通する課題だからだ。

こうした流れで開発された鉄道車両に「NEトレイン」がある。「NEトレイン」は、2013年にJR東日本と鉄道総研が共同で開発した試作車であり、ハイブリッド技術や、リチウムイオン電池や燃料電池を電源として搭載する技術が導入され、走行試験が実施された。

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