鉄道車両と自動車、意外に多い「技術的な共通点」 お互いに影響を及ぼしながら発展してきた

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

その結果実用化されたディーゼルハイブリッド気動車と、大容量のリチウムイオン電池を搭載した蓄電池電車は、2007年にJR小海線、2014年にJR烏山線の営業列車にそれぞれ最初に導入された。現時点では、ディーゼルハイブリッド気動車はJR東日本・JR西日本・JR東海、蓄電池電車はJR東日本とJR九州の営業列車に導入されている。

いっぽう燃料電池を電源として搭載した燃料電池ハイブリッド鉄道車両(以下、燃料電池電車)は、すぐには実用化に至らなかった。

そこでJR東日本は、2022年に日立製作所やトヨタ自動車と共同で「HYBARI(ヒバリ)」と呼ばれる燃料電池電車を試作し、現在走行試験を行なっている。この「HYBARI」には、トヨタ自動車が開発した「MIRAI」などの燃料電池自動車で培われた燃料電池や、燃料となる水素を貯蔵する水素貯蔵タンクの技術が導入された。

もし燃料電池電車を営業列車に導入できるようになれば、蓄電池電車が対応できない長距離の非電化路線の脱炭素化を実現するだけでなく、既存の電化路線における電気設備の省略が実現する。それらは地球環境問題だけではなく、生産年齢人口の減少にともなう労働者不足の問題を解決すると期待されている。

鉄道と自動車は同じ方向を向いている

このように鉄道と自動車の接点を探ると、両者にはさまざまな共通点があり、互いに影響し合っていることがわかる。

『電気自動車のしくみ』(翔泳社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

また、温暖化効果ガスを削減するという点では、両者は同じ方向を向いていることもわかる。

鉄道にとって自動車は、かつては存在を脅かすライバルだった。しかし今は、鉄道会社と自動車メーカーが互いに協力し合う時代だ。

今後は、鉄道業界と自動車業界が歩み寄り、ともにモビリティ革命(変革)を乗り越えるうえでのパートナーとして協力し合うことで、環境に配慮しつつ、より快適に移動できる社会が実現することを期待したい。

川辺 謙一 交通技術ライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

かわべ・けんいち / Kenichi Kawabe

1970年生まれ。三重県出身。茨城県南部在住。東北大学工学部卒、東北大学大学院工学研究科修了。化学メーカーの工場・研究所(筑波)勤務後、独立。技術系出身の経歴と、絵や図を描く技能を生かし、高度化した技術を一般向けにわかりやすく翻訳・解説。鉄道以外のテーマにも活動範囲を拡大中。著書に『図解まるわかり 電気自動車のしくみ』(翔泳社)等多数。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事